従来機と比較し、より低侵襲な内視鏡治療が可能に
富士フイルム株式会社は3月7日、鉗子口径の拡大と高追従挿入部などの搭載により、高い処置性能と挿入性を実現したダブルバルーン内視鏡「EI-580BT」を、富士フイルムメディカル株式会社を通じて発売を開始することを発表した。
画像はリリースより
同製品は、処置具を挿入する鉗子口径を従来機の2.8mmから3.2mmに拡大。これにより、使用可能な処置具の選択肢が広がるとともに、処置具の出し入れや操作が容易になった。検査中に視界を明瞭にするために、血液や便などを吸引する性能は、従来機と比較して約3.6倍に向上。また、スコープ先端の小回りが利き、旋廻性能が高いので、病変部の観察や処置具を出す際にスコープ先端を目的部位に向けやすく、検査時間の短縮が期待できるという。
患者の苦痛軽減と検査効率の向上に期待
さらに、検査中の患者の身体的苦痛を低減するための細さ・軟らかさ(柔軟性)と、操作者の手元側の操作の微妙な力加減を効率的に先端に伝えることができる硬さの両立を追求。スコープ先端部の軟性部は、腸管壁のカーブに沿ってスムーズに曲がり、カーブ通過後は直線に戻りやすくする「カーブトラッキング技術」と、高い弾発性を持つ新素材を採用した高追従挿入部になっており、術後再建腸管や屈曲部が多い大腸などスコープの挿入が難しい場合でも、患者の身体的苦痛の低減と検査効率の向上が期待できるという。
同社ではこれまでに、2003年に2つのバルーンを使用し、小腸内でスコープを少しずつ進ませるダブルバルーン小腸内視鏡を世界で初めて発売。これにより内視鏡挿入が難しく検査が困難とされてきた小腸全域を検査・治療することが可能になった。また、この技術を応用し、有効長が短いショートタイプのダブルバルーン内視鏡「EI-530B」を2011年6月に発売。以来、ショートタイプのダブルバルーン内視鏡を用いた治療は、外科手術で腸管を再建した患者の胆道・すい管などに疾患が生じた場合など、通常の十二指腸内視鏡では挿入・治療が困難な症例で、再外科手術などに替わる新たな低侵襲の治療法として普及している。
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・富士フイルム株式会社 プレスリリース