既に現職の山本会長は、1月21日の定例会見で、次期会長候補者選挙への出馬を表明している。
2年前に会長選に立候補した際に掲げた他団体との関係改善などの公約を「さらに十分なものにしたい」と強調。2年後に控える介護報酬・診療報酬の同時改定への対応をはじめ、厚生労働省の「健康サポート薬局」や「患者のための薬局ビジョン」を実現するための土台作りの重要性を強調し、「この先もかなり厳しい状況で進むと思っている。安定した政権体制を作り、先頭に立ってがんばっていきたい」と述べている。
一方の生出氏は、出馬の理由について、児玉会長時代に進めてきた、▽広報活動の充実による薬剤師職能のアピール▽日薬執行部への若手薬剤師の起用――という二つの大きな命題に再び取り組むためと説明。特に、「山本体制でなくなった広報委員会を復活させたい」との思いを口にした。
さらに、「実際、自分の薬局でも実践している」とし、セルフメディケーションと在宅医療への取り組みの重要性も強調。検体測定室については、「誰に対しても自分たちの職能を信じて主張すべきは主張する、そういう組織にしたい」と語った。
また、「一部のトップの人たちだけで動くのではなく、みんなの意見も取り入れながら」と述べるなど、組織の風通しを良くしたいとの思いもあるようだ。
生出氏は、東北6県の推薦を得ている。勝算については、現職の山本氏が「まだ現職1期目で、今のところ大きな失点がない」状況にあるため、「決して簡単ではない」としつつも、「今は薬剤師にとって一番大事な時期。薬剤師が良い方向に変わるためにも、勝たなければならない」と意気込んだ。
中央社会保険医療協議会委員の経験があり、調剤報酬など医療保険に精通する山本氏と、セルフメディケーションや薬学教育などに積極に取り組んできた生出氏。3月13日の選挙は、それぞれ得意分野が異なる者同士の闘いとなる。
一方、副会長は、現職の石井甲一(東京・65歳)、森昌平(栃木県・55歳)、乾英夫(大阪、60歳)、鈴木洋史(東京、54歳)の4氏に、田尻泰典(福岡・59歳)、前田泰則(広島・66歳)、曽布川和則(静岡・65歳)、岩月進(愛知・60歳)の4氏を加えた8人で五つの椅子を争うことになった。