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エピゲノム補正手法開発で、統合解析が可能に-岩手医科大ら

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2016年02月05日 PM02:30

DNA収集プロトコールの違いで、DNAメチル化状態が変化

)は2月3日、岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク(東北MM)機構生体情報解析部門の清水厚志特命教授らの研究グループが、国内の大規模コホートの検体収集やDNA抽出処理の手順(DNA収集プロトコール)を調査し、検体の収集プロトコールの違いにより、病気の発症に深く影響しているエピゲノム(DNAメチル化)状態が変化することを明らかにしたと発表した。研究成果は国際科学雑誌である「PLOS ONE」に、1月23日付けで掲載された。

DNAメチル化は、細胞や組織により異なり、また、輸送方法や実験手法の影響を受けるため、異なる研究機関で集められた試料を用いて大規模な研究を行うことは困難とされている。このような背景の中、研究グループは、今後のゲノムコホート研究において国内の各コホートが連携してDNAメチル化解析を実施するために、DNA収集プロトコールの相違がDNAメチル化解析に与える影響について詳細な解析を行った。

まず、久山町研究など日本を代表する4つのコホート研究から、DNA収集プロトコールの提供を受けた。東北MMの手法を加え、類似した手法をまとめると、21種類もの異なるDNA収集プロトコールがあった。

病気の発症前に変化するDNAメチル化を見つける方法の研究推進

研究グループは、大きく異なる5つのDNA収集プロトコールを用い、岩手医科大学で、同日に同条件で、16人の協力ボランティアの方々の血液からDNAを抽出。メチル化マイクロアレイを用いたDNAメチル化解析の結果によると、同一個人・同一日時に採取した血液でもDNA収集プロトコールが異なるとDNAメチル化に差が生じていた。この原因をさらに調べたところ、DNA収集プロトコールの相違により、血液から回収した白血球細胞の種類の分布(細胞組成)に変化が生じていた。異なるコホートで収集した生体試料を用いてDNAメチル化解析を行うことは難しいということが示唆されたとしている。

そこで、研究グループは、細胞の種類ごとにDNAメチル化状態が異なることを利用し、測定したDNAメチル化情報から雑多な細胞集団である元の血液に含まれていた個人ごとの細胞組成を推定し、その情報を用いてDNA収集プロトコールによるDNAメチル化の差を補正する手法を開発。このような既存のコホート・バイオバンクの検体の情報を収集し、実際に利用できることを示したのは初めての成果で、これにより、国内の様々なコホート・バイオバンクによって異なるDNA収集プロトコールで集められた血液由来DNAを相互利用できるようになり、コホート同士が連携して統合解析が行えることが示されたとしている。

今後、各コホートで集めた生体試料を用いたDNAメチル化解析に今回の研究成果を応用し、病気と関連のあるDNAメチル化の変化ならびに病気の発症前に変化するDNAメチル化を見つける方法について研究を進め、個別化予防・個別化医療の実現を目指すと研究グループは述べている。

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