4~6歳児60人対象の臨床試験結果に基づき
サノフィ株式会社は2月1日、 4~6 歳の小児を対象に実施した「イモバックスポリオ(R)皮下注」の第4相製造販売後臨床試験において、初回免疫3回と追加免疫1回からなる乳幼児期の接種を受けたのち時間経過とともに減衰した抗体価が、通算5回目となる2回目の追加免疫により上昇することを確認したと発表した。試験結果は、小児科臨床第68巻第8号に掲載。また、2月1日に改訂された添付文書にも反映されている。
同社によると、イモバックスポリオは、1982年のフランスでの発売以降、日本を含む103か国で承認され(2016年1月時点)、ポリオ予防に用いる標準的なワクチンとしての実績を確立している。また、サノフィ・グループのワクチン事業部門であるサノフィパスツールでは、全世界に8億回接種分以上の不活化ポリオワクチン(単独ワクチン/混合ワクチンの合計)を供給。日本においても不活化ポリオワクチンに対する期待は非常に大きく、2012年9月 1日の接種開始から既におよそ540万回接種分が市場に供給されている。
今回の試験は、ソーク不活化ポリオワクチンの初回免疫(3回接種)および追加免疫(1回接種)を完了した4~6歳の小児を対象に、2回目の追加免疫(通算5 回目)の抗体価および安全性を検討する目的で、60人の被験者を対象に実施された、多施設共同、非盲検、単群、第4相製造販売後臨床試験。
就学前の追加接種、まずは任意接種として
その結果によると、主要評価項目は接種1 か月(28~42 日)後のポリオウイルス1型、2型、および3型に対する追加免疫反応率とし、型別の追加免疫反応率は78.0%、78.0%および79.7%だった。副次評価項目である幾何平均抗体価(GMT)は、接種前の312.6、795.4、314.5からそれぞれ3794.9、9213.2、5242.1 に上昇。また、忍容性も良好だった。
イモバックスポリオ皮下注の第3相臨床試験においては、乳幼児期の追加免疫接種後の GMTがポリオウイルス1型、2型、および3型に対して、3906.1、3742.7、6775.1 まで上昇している一方、今回の試験での接種前(平均年齢4.0歳時点)のGMTは 312.6、795.4、314.5だった。乳幼児期の接種により一度上昇した抗体価は経時的に減衰していくことが示唆され、減衰した抗体価を再上昇させるためには、就学前に2回目の追加接種を行うことが望ましいと考えられるとしている。
同社は、実際に不活化ポリオワクチンを導入している欧米諸国の多くでは就学前の追加接種を実施しており、日本でも、まずは任意接種として情報提供を行いたいと述べている。
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・サノフィ株式会社 プレスリリース