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糖尿病予備軍でも全がんリスク高く-国がん

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2015年12月24日 PM03:00

HbA1cとがんリスクとの関連調査

国立がん研究センターは12月21日、多目的コホート研究「ヘモグロビンA1c()とがん罹患との関連」を公表した。研究成果は、「International Journal of Cancer」のWEB版にて、11月に先行公開された。


画像はリリースより

研究グループは、1990と1993年に岩手県二戸、長野県佐久などの9保健所管内に在住で、1998~2000年度および2003~2005年度に実施した糖尿病調査に協力した人のうち、HbA1cのデータがあり、初回の調査時までにがんに罹患していなかった2万9,629人(男性1万1,336人、女性1万8,293人)を対象として、HbA1cとがん罹患リスクとの関係を調べた。

これまでのコホート研究により糖尿病患者では大腸がん、、子宮内膜がんなどのがん罹患リスクが1.5~4倍高く、全がんも約1.2倍高いと報告されている。糖尿病は慢性的な高血糖を特徴とする病気で、HbA1cは1~2か月間の血糖値を反映する血液検査値として知られている。そのため、HbA1c(6.5%以上)は糖尿病の診断基準のひとつとしても採用されている。

糖尿病ががんのリスク因子だとすると、HbA1cはがんリスクと関連することが予想されるが、HbA1c値とがんリスクとの関連は十分にわかっていなかった。そこで、研究グループでは、この関係を「多目的コホート」の糖尿病調査のデータを用いて調べることを目的とした。

HbA1c値5%未満群でも肝がん、膵がんのリスク上昇

研究グループは、糖尿病調査で測定したHbA1cの値を用いて、5.0%未満、5.0~5.4%、5.5~5.9%、6.0~6.4%、6.5%以上、既知の糖尿病の6つの群に分けて、その後の全がんリスク、臓器別リスクを分析した。なお、2回の糖尿病調査に参加していた場合(研究対象者の35%)、2つのHbA1cの平均値を用いた。追跡期間中に1,955件のがんが発生した。

年齢、性別、喫煙歴、飲酒歴、野菜摂取、総エネルギー摂取、コーヒー摂取、心血管疾患の既往などを統計学的に調整したうえで、がんリスク(95%信頼区間)を計算。HbA1c値5.0~5.4%を基準「1.00」とした場合、5%未満のがんリスクが1.27倍、5.5~5.9%が1.01倍、6.0~6.4%が1.28倍、6.5%以上が1.43倍、既知の糖尿病が1.23倍で、非糖尿病域および糖尿病域の高HbA1c値の群で全がんリスクが上昇していることがわかった。低HbA1c値の群でも全がんリスクの上昇が見られた。

がん種別の分析では、非糖尿病域および糖尿病域の高HbA1c値の群で大腸がん、特に結腸がんのリスクが上昇しており、肝がんや膵がんでは、5%未満の低HbA1c値群でもリスク上昇が見られた。また、肝がんを除外すると、HbA1c値は直線的に全がんリスク上昇と関連していた。

今回の研究では、非糖尿病域の高HbA1c値群における全がんリスク上昇が示されており、糖尿病予防対策の重要性が一層示唆されたとしている。

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