PSCA抗体を用いたCAR-T細胞による養子細胞療法の開発権利供与
アステラス製薬株式会社と米国のBellicum Pharmaceuticals, Inc.(Bellicum社)は12月11日、アステラス製薬の連結子会社であるAgensys, Inc.(Agensys社)とBellicum社が、Agensys社が開発した前立腺幹細胞抗原(PSCA)抗体を用いた、CAR-T細胞などによる養子細胞療法に関する開発及び商業化の権利をBellicum社に供与する全世界におけるライセンス契約を締結したと発表した。
PSCAは、前立腺がん、膵臓がん、膀胱がん、食道がん及び胃がんなどに発現するがん抗原。Bellicum社が開発中のBPX-601は、PSCAを標的としたGoCAR-T(TM)開発候補細胞であり、前臨床試験で強力な抗腫瘍効果を示している。GoCAR-Tは、Bellicum社が特許権を有する技術であり、その技術におけるMC(MyD88/CD40)分子スイッチは、患者の体内でGoCAR-T細胞の活性、増殖及び持続に関する薬理学的制御を可能にするという。Agensys社が有するPSCA抗体に関する技術を、まずは開発が先行するBPX-601に導入することにより開発の加速化を図りたい考えだ。
BPX-601、最初に膵臓がんを目標適応症として開発中
同ライセンス契約の条件に基づき、Agensys社は、Bellicum社から契約一時金を受け取り、臨床開発及び販売マイルストンに基づく一時金、並びに製品売上げの一桁台パーセントをロイヤルティとして受け取る可能性がある。アステラス製薬またはAgensys社は、日本におけるBPX-601をはじめとするBellicum社が開発したPSCA抗体に関する技術を用いた製品の商業化のオプション権を留保する。この権利を行使した場合、Bellicum社は権利行使に伴う支払いをアステラス製薬またはAgensys社から受け取り、Agensys社への臨床開発、及び販売に関するマイルストンは減額される。また、Bellicum社は、日本における当該製品の売上げに基づくロイヤルティをアステラス製薬またはAgensys社から受け取る。
なお、今回の契約によりBellicum社は、BPX-601で膵臓がんを最初の目標適応症として開発中のプログラムを、2016年前半に臨床段階まで進展させたいとしている。
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・アステラス製薬株式会社 ニュースリリース