世界30か国以上で販売されているGC-C受容体作動薬
アステラス製薬株式会社は12月1日、米国のIronwood Pharmaceuticals, Inc.より導入し、日本において開発を行っているグアニル酸シクラーゼC受容体作動薬「リナクロチド」(一般名)について、成人における便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)患者を対象とした第3相試験で主要評価項目を達成したと発表した。
GC-C受容体作動薬であるリナクロチドは、腸粘膜上皮細胞に発現しているGC-C受容体に局所的に結合。GC-C受容体を活性化することにより腸管分泌および腸管輸送能を促進し、かつ腸管の痛覚神経の活性を低下させることが非臨床試験で確認されている。ただし、現段階ではこの痛覚神経に対する効果の臨床的意義は確認されていない。同剤は成人のIBS-Cと慢性特発性便秘(CIC)の適応症で、世界30か国以上で販売されている。
日本では成人の2.9%がIBS-Cであると言われているが、現在、IBS-Cで承認されている薬剤はない。なお、日本における開発・販売権はアステラス製薬が有しており、現在、アステラス製薬により開発が実施されている。
日本での試験においても主要評価項目を達成
今回行われた試験は、日本のIBS-Cの成人患者500例を、リナクロチド投与群(0.5mg)またはプラセボ投与群に1:1の比で無作為に割り付け、リナクロチドを12週間経口投与した際の有効性を検証するとともに安全性を検討したプラセボ対照二重盲検比較試験。
試験の結果、2つの主要評価項目である投与12週間における過敏性腸症候群(IBS)症状の全般改善効果及び残便感の無い自発的な排便(CSBM)のレスポンダー率において、リナクロチド投与群はプラセボ投与群と比較して統計学的に有意な改善を示したという。このうちIBS症状の全般改善効果のレスポンダー率は、リナクロチド投与群で34%、プラセボ投与群で18%(P<0.001)だった。また、CSBMのレスポンダー率はリナクロチド投与群で35%、プラセボ投与群で19%(P<0.001)だった。
さらに、腹部膨満感、腹痛・腹部不快感を含む、腹部及び便秘症状をみた副次評価項目においても改善が認められたという。また、主な有害事象は下痢で、その発現率はリナクロチド投与群で9.6%、プラセボ投与群で0.4%であり、程度は全て軽度から中等度だったとしている。
なお、この試験は12週間の二重盲検比較試験期間の後、継続して行う40週間の非盲検試験期間も含んでおり、現在実施中だ。アステラス製薬は、2016年の製造販売承認申請を目指して同剤の開発を進めていくとしている。
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・アステラス製薬株式会社 ニュースリリース