糖尿病にかかっていて、肥満の女性は、運動療法をするときに、男性とは異なるプログラムを行う必要があるそうです。
糖尿病と性別の関連としては、女性の方が虚血性心疾患での死亡の割合が高いことが知られてきました。そこで、ハンドグリップ負荷で、同様の運動療法を行なった後の男女による違いがあるのかを調査した結果が専門誌Metabolismに収録されました。
対象となったのは、合計22人。糖尿病にかかっており、肥満の男女です。対象者は16週間のウォーキングプログラムの開始時と終了時にハンドグリップテストを行い、プログラムの結果心機能の改善が見られているかどうかを評価しました。
この結果、特に運動後の心機能の回復の過程が、男性では、ウォーキングプログラムの終了後に、心機能が改善していましたが、女性では変わりませんでした。特に女性では、平均動脈圧、収縮期血圧 の回復スピードがもともと、男性よりも遅いことが分かりました。そのうえ、男性では運動療法の結果の改善があったのに、女性では同じ運動では改善しないままだったのです。
この発見から、医療者が女性のための適切な運動療法プログラムを計画するのに役立つ知識が得られたとされています。糖尿病にかかっている女性の肥満解消には、男性よりも長時間、または激しい運動をしなければ期待する効果が上がらないのかもしれません。
また、心機能の回復スピードが改善するような運動療法を今後探していく必要があると見られています。効果が見られないからと、運動することをためらっては、悪循環になることも考えられます。運動習慣を身につけると共に、定期的に心機能の検査を受けることも大切と言えるでしょう。
▼外部リンク
Exercise training improves hemodynamic recovery to isometric exercise in obese men with type 2 diabetes but not in obese women
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0026049512002776