カテキンEGCGはがん細胞を殺傷する
九州大学大学院農学研究院は緑茶に含まれるカテキンEGCGががん細胞を殺傷する新たな仕組みを発見した。さらに腫瘍に高発現する酵素ホスホジエステラーゼ5にED(男性性機能障害)治療薬を併用するとEGCGの抗がん作用が向上することを明らかにした。
緑茶は体脂肪低減作用や抗アレルギー作用など生体調節作用をもつ。一方、緑茶の成分エピガロカテキンガレート(EGCG)が前立腺がんや胃がんに発揮するといわれる抗がん作用についてはそのメカニズムが不明で異論もあった。
九州大はEGCGが細胞膜表面のタンパク質(67LR)と結合してがん細胞を選択的に殺傷することはこれまでの研究で確認していた。
PDES阻害剤との併用で抗がん作用が向上
今回の研究でEGCGが血管を弛緩させる経路、一酸化窒素/cGMP経路を活性化させて正常な細胞を傷つけることなくがん細胞を特異的に殺傷する仕組みを突き止めた。
さらに酵素ホスホジエステラーゼ5(PDE5)ががん細胞に高発現して、EGCGの抗がん作用を阻害していることがわかった。そこで男性性機能障害治療薬として臨床で使われるPDE5阻害剤でその働きを抑えてみた。その結果、低用量におけるEGCGのがん細胞致死活性を飛躍的に増強することができた。
EGCGは腫瘍に高発現する分子を標的とするのでがん細胞のみを選択的に殺傷できると考えられる。また今回明らかになったEGCGのがん細胞殺傷のメカニズムはこれまでの抗がん剤とは全く異なる仕組みであることから、既存治療薬で効果がないあるいは抵抗性をもったがんに対する治療薬の開発に結びつくと期待される。
▼外部リンク
九州大学プレスリリース
http://www.kyushu-u.ac.jp/