生体リズムの乱れが肥満の要因に
奈良県立医科大学の研究グループは夜間の低照度光曝露が肥満症や脂質異常症(高中性脂血症、高いLDL血症、低HDL血症)に関連することを明らかにした。
食事や運動が肥満の原因となることは知られているが、この研究ではわずかな明るさを夜間に受けることによってサーカディアンリズム(生体の概日リズム)が乱れることを新たな要因としている。
高齢者528人の寝室の照度を調査して、夜間に3ルクス以上を曝露している場合、3ルクス未満と比べて肥満症の割合が1.9倍だったことがわかった。
夜勤労働者に肥満などが多く、心血管疾患のリスクが高いことは過去に報告されている。今回の調査では夜勤労働者の曝露する光照度よりはるかに低い家庭用豆電球程度の明るさだった。健康への影響が推測されるよりはるかに低い照度の夜間光曝露でも、肥満を招く可能性があると考えられる。
生体リズムの変調は不眠症、うつ病などのリスクの可能性も
研究グループは2010年から住環境に着目した疫学研究を行い、日中光曝露が多いと夜間メラトニンの分泌量が多いことを確認している。
生体リズムを調整するメラトニンに不眠症、うつ病、認知症、がん、高血圧などを予防する効果があるとされている。日中光曝露が限られている現代社会の生活が生体リズムの変調や夜間メラトニン分泌の減少からこれらの疾患を引き起こしている可能性は高い。
同グループは光曝露と健康の関わりをさらに解明していくとしている。
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