赤外線センシング技術を利用した高齢者向け福祉機器
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は10月30日、株式会社イデアクエストとともに、高齢者向け福祉機器である非接触・無拘束ベッド見守りシステム「OWLSIGHT(アウルサイト)」を開発し、10月27日より製品販売を開始したと発表した。
画像はリリースより
OWLSIGHTは、NEDO事業で培った赤外線センシング技術を利用したセンサーにより、ベッド上の被介護者を非接触・無拘束で見守り、被介護者が危険な状態に至った場合に、介護者が持っている端末に通報するシステム。これにより、被介護者の安全・安心な生活、および、介護者の肉体的・精神的負担の軽減が期待される。
枕元側の壁や天井のセンサーのみで、ベッド上全体を見守り
イデアクエストは、画像センシングに関する慶應義塾大学との共同研究に取り組み、同製品を開発。主な特徴として、ベッド枕元側の壁や天井に取り付けるセンサーのみで、ベッド上全体を見守るシステムを採用しており、被介護者には非接触のため、センサーのずれ等による誤動作を防げるとしている。
また、被介護者の立ちあがる、柵にもたれるといった大きな動きと、もだえやふるえのような小さな動きのどちらも検出可能な、広域なダイナミックレンジをもつセンサーを使用している。姿勢による危険度判定に加え、生体情報を検出できるセンサーにより、布団等の有無によらず、ベッド上に被介護者が不在であることを正しく判定できるという。
さらに、介護者が持つスマートフォンなどの端末にて、被介護者の動作を確認可能。表示画像は、可視光を使用しない赤外光の輝点画像であるため、個性を識別できない画像であり、被介護者のプライバシーに配慮している。また、被介護者の危険度判断、被介護者の状態を確認できる画像などを、3か月程度ログとして保存している。ログを確認することにより、被介護者が危険姿勢に至るまでの経緯をいつでも確認できるという。
今後、NEDOは、同製品を認知症患者や自身で姿勢を直せない筋力が衰えた患者などを対象とされる病院や介護施設、在宅に対して、普及を進めていきたいとしている。
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・新エネルギー・産業技術総合開発機構 ニュースリリース