ACR20反応率とDAS28‐hsCRPスコアの改善で優越性示す
イーライリリー・アンド・カンパニーとインサイト・コーポレーションは10月14日、開発中の薬剤「Baricitinib」について、中等度から高度疾患活動性関節リウマチ患者に対する4つ目の第3相臨床試験(RA-BEAM試験)におけるポジティブなトップライン結果を発表した。
同試験は、投与12週後のACR20反応率(関節リウマチの疾患活動性が少なくとも20%改善することを表す標準的な臨床評価尺度)において、プラセボに対してBaricitinibが優越性を示し、主要評価目的を達成した。また同剤は、主要な副次評価項目である投与12週後のACR20反応率とDAS28‐hsCRPスコアの改善において、アダリムマブに対する優越性を示したという。投与24週後では、レントゲン上の構造的関節損傷の進行予防において、プラセボに対する優越性を示した。同剤の投与12週後および24週後に認められたこれらの有効性は、投与から52週にわたって維持されたという。
乾癬および糖尿病性腎症は、第2相臨床開発段階に
Baricitinibは、1日1回経口投与の選択的JAK1およびJAK2阻害剤。JAK酵素としては、JAK1、JAK2、JAK3、TYK2の4種類が知られている。JAK依存性サイトカインは多くの炎症性および自己免疫疾患の病因と関連しており、このことからJAK阻害剤が広範囲の炎症状態を示す疾患の治療に有益である可能性が示唆される。キナーゼアッセイでは、BaricitinibはJAK3よりもJAK1およびJAK2に対し約100倍の阻害効力を発揮したという。
今回の試験は、関節リウマチの徴候・症状の改善において、1日1回投与の経口薬が、現在の標準治療である注射剤と比較して優越性を示した最初の試験となった。同剤が承認されれば、治療を改善するための重要な要素になると期待される。
イーライリリーとインサイトは2009年12月、炎症性および自己免疫性疾患の治療のために、Baricitinibおよび特定の後続化合物の開発・商品化について、世界規模の独占的なライセンスおよび共同研究に合意。現在、同剤に関する関節リウマチ以外の疾患に対する開発は、乾癬および糖尿病性腎症に対象として第2相臨床開発段階にある。
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