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表皮に存在する酵素によってできる「リゾ型リン脂質」が健康や病気の調節に重要な役割-医学研ら

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2015年10月16日 AM06:00

ケラチノサイトの酵素が新しい活性を持つ脂質を作る

科学技術振興機構は10月13日、(医学研)の村上誠参事研究員、山本圭研究員ら研究グループが脂質を分解する酵素の研究から、皮膚の健康と病気を調節する新しい脂質メカニズムを発見したと発表した。表皮角化細胞(ケラチノサイト)の酵素が新しい活性を持つ脂質を作り出し、皮膚の分化と肥厚を進めることを初めて見つけたという。


画像はリリースより

この研究成果は、同研究所と京都大学の椛島健治教授、千葉大学の神戸直智准教授、米ワシントン大学のMichael Gelb教授、仏CNRS研究所のGérard Lambeau教授らによるもの。米科学誌「Journal of Experimental Medicine」オンライン版に10月12日付で掲載されている。

体内からの水分の蒸散や病原体などの侵入は、外界に接する皮膚表面のケラチノサイトの脂質(特にセラミド)の層によって守られている。日常、表皮角化細胞は分化と増殖を行っているが、このサイクルが壊れると皮膚のバリアが乱れ、治療の難しい乾癬やかぶれ(接触性皮膚炎)などのアレルギーにつながると言われている。しかし、セラミド以外の脂質が皮膚でどのような役割をしているかについては十分理解されていなかった。

難治性皮膚疾患の新たな診断法や治療薬の開発に期待

研究グループは、皮膚異常を発症するモデルマウスの皮膚の遺伝子をマイクロアレイ法(発現遺伝子解析)により比較。その結果、これまで機能が不明だった細胞外に分泌されるリン脂質分解酵素(PLA2G2F)が、表皮にのみ強く発現していることを見いだしたという。

同じことはヒトの皮膚でも起こり、乾癬患者の肥厚した表皮で発現が増加していたという。そこで、この酵素の皮膚における役割をさらに解明するために、遺伝子操作したモデルマウスを作製し、観察した。

その結果、乾癬やかぶれの新規バイオマーカーであると同時に、新しい生理活性脂質である「リゾ型リン脂質」が、健康や病気の調節に重要な役割を果たしていることを発見した。この成果は、乾癬や皮膚がんなどの病気の新しい診断法や治療薬の開発につながると考えられ、今後の研究に期待が寄せられる。

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