■微生物創薬に注目‐薬学研究へ励み
2015年のノーベル医学生理学賞の受賞者に、大村智北里大学特別栄誉教授ら3人が決まった。寄生虫感染症への画期的治療法の発見に対して贈られたもので、大村氏が発見した抗寄生虫薬エバーメクチンの誘導体は、顧みられない熱帯病のオンコセルカ症(河川盲目症)の特効薬として使用され、北里研究所と米メルクの無償提供により、アフリカ等の貧しい数億人の患者が恩恵を受けた。大村氏は、日本薬学会名誉会員でもあり、薬学会会員のノーベル医学生理学賞受賞は初の快挙。バイオ医薬品が全盛期の時代に、日本が得意とする伝統的な微生物創薬が高く評価されたことは、薬学研究の分野に大きな励みとなりそうだ。
大村氏は、有機化学者として薬学研究に深く関わってきた。1968年に東京大学で薬学博士を取得。75年から84年まで北里大学薬学部教授、90年から2008年までは北里研究所所長を歴任した。86年には、「マクロライドをはじめとする各種抗生物質に関する総合的研究」で日本薬学会学術賞を受賞しており、日本薬学会名誉会員でもある。