日本でも「シルバードライバー」という表現が定着するほどに、高齢者が車の運転をすることは、ごく当然の存在ですが、欧米諸国ではシルバードライバーの事故のリスクについて、目の老化現象に着目した警告がReutersから発せられています。
目の老化現象で特に運転の危険を伴うのは視野が欠ける「視野欠損」を伴うもの。代表的な、加齢黄斑変性症は、目の疾患の中でも特に加齢に関係があるとされているものの一つです。網膜の黄斑部が老化してしまうことで、視野欠損が起こるようになります。日本の失明原因でも上位に上がってきていますが、欧米の方が罹患率が高い病気です。
今回の報道の元となった調査は、ハーバード大の医学部のチームが行ったもの。片目の視野欠損が見られる11人と、視野欠損のない11人それぞれに、一定の条件下で車を運転してもらい、およそ1分に1回ごとに通行人がいるようにしました。ドライバーは、通行人を見たらクラクションを鳴らすように指示されました。
すると、視野欠損がある人では、そうでない人に比べて、通行人に反応するまでに時間がかかることが分かりました。そして、視野欠損のある部分に歩行者が出現したときが、反応までに最も時間がかかったのです。
視野欠損のない人が通行人に反応するまでの時間がおよそ1秒であるのに、視野欠損のある人では5秒かかることすらもあったのです。
イギリスやヨーロッパでは、高齢者が運転免許を取得する際には、特別な目の検査が義務づけられています。一方アメリカでは、こうした規制がなく、現在導入を検討すべきだとの声が上がっています。
欧米に限らず、日本でも、視野の状況などを定期的に確認して、安全な運転を続けられるような取り組みが必要になりそうです。
▼外部リンク
Driving With Central Field Loss IEffect of Central Scotomas on Responses to Hazards
http://archopht.jamanetwork.com/
Reuters ; Is driving OK with certain age-related blind spots?
http://uk.reuters.com/article/2013/