重症熱傷の治療に使用され、適応拡大を目指す自家培養表皮
富士フイルムグループの株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J‐TEC)は9月8日、再生医療等製品「自家培養表皮ジェイス(R)」について、先天性巨大色素性母斑の治療を目的とした治験終了届書が医薬品医療機器総合機構(PMDA)に受理され、同治験が終了したことを発表した。
画像はリリースより
同社は、2007年に重症熱傷を適応対象としてジェイスの製造販売承認を取得。その後、同製品の先天性巨大色素性母斑への適応拡大を目指し、2012年から国立成育医療研究センター等において実施されていた医師主導治験を、2014年に継承し、企業主導治験として進めてきた。なお、同製品は、2014年11月に先天性巨大色素性母斑の治療を目的とした希少疾病用再生医療等製品に指定されている。
少量の組織採取から広範囲の治療が可能に
先天性巨大色素性母斑は、生まれつき黒褐色のあざが体の広範囲にみられる疾患で、悪性化して皮膚がんになる危険性があるとされている。従来、母斑を切除して縫い合わせたり、体の他の部位から採取した患者自身の正常な皮膚を移植したりする治療が行われてきたが、母斑が大きい患者には適さないなどの課題があった。一般的に、治療が必要な先天性巨大色素性母斑の患者数は、新生児の約2万人に1人とされている。
ジェイスによる先天性巨大色素性母斑の治療では、患者自身の皮膚組織を培養することで製造した同製品を、患者の母斑切除部に移植。少量の組織採取から広範囲の治療が可能であり、患者の負担を軽減することができるという。
今後は、適応拡大の承認取得を進め、2018年3月期の上市を目指すとしている。