■調剤は7.2兆円
厚生労働省は3日、2014年度の医療保険と公的負担医療分を合わせた概算医療費を発表した。前年度比1.8%増の39兆9556億円と過去最高を更新し、約40兆円に達したが、後発品の使用促進の影響などから伸び率は鈍化傾向を示した。
調剤医療費は、電算処理分が2.3%増の7兆1515億円と7兆円を突破した。後発品割合は新指標の数量ベースで56.4%と6割に迫る勢いとなった。
医療費の内訳を見ると、入院が1.7%増の16兆円、入院外+調剤が1.6%増の21兆円となった。高齢化などの影響もあり、単価を示す1日当たり医療費の伸び率が2.1%増加したものの、後発品の使用促進などが影響し、全体の医療費は1.8%の伸びにとどまった。12年度以降は2%前後の伸び率で推移している傾向が続く。厚労省保険局調査課は、「7対1病床の減少や後発品の使用促進の影響などにより、医療費の伸び率は低かった」と分析している。
一方、調剤を全数で見ると、処方箋1枚当たりの調剤医療費が前年度比0.5%増、処方箋枚数は1.8%増となった。電算処理分の調剤費の内訳は、薬剤料が2.4%増の5兆3711億円、技術料が1.8%増加して1兆7682億円に達した。
薬剤料を詳しく見ると、全体の約8割を占める内服薬は1.6%増の4兆4460億円、後発品は19.9%増の7195億円と大幅に増加した。また、調剤費に占める技術料の割合は0.1ポイント減の24.7%、薬剤料の割合も75.1%と0.1ポイント増となり、いずれもほぼ横ばいで推移した。処方箋1枚当たりの調剤医療費は、0.5%増の8899円。技術料は横ばいの2200円、薬剤料は0.6%増の6684円と低い伸びとなった。
後発品の割合は、昨年度末の数量ベースを新指標で見ると58.4%となった。昨年4月時点の53.8%から数量シェアが4.6%増加し、伸び率は前年度並みだった。年度ごとの平均を見ると、数量ベースでは8.4%増えて56.4%、薬剤料ベースでは2.0%増の13.4%、後発品調剤率は60.8%と6割を突破した。
後発品割合別に保険薬局数を見たところ、昨年4月時点で数量シェアが55%未満の薬局は47.0%だったのに対し、数量シェア55%以上の薬局は53.0%と過半数を占め、65%以上の薬局も26.2%あった。今年3月時点で見ると、数量シェア55%未満の薬局は35.7%に減少した一方、55%以上の薬局は64.3%にまで増加。65%以上の薬局も38.4%と4割近くまで増えた。
後発品の算出対象となる長期収載品および後発品の構成割合を見ると、消化器官用薬が21.1%と最も大きく、次いで循環器官用薬が19.5%を占めていた。消化器官用薬と循環器官用薬について、昨年度末時点の後発品割合を見たところでは、それぞれ72.5%、57.2%であり、消化器官用薬の後発品割合は昨年度の平均でも7割を超えた。
薬効分類別の後発品割合を見ると、後発品のない先発品の割合が19.6%であり、いわゆる長期収載品は25.7%、後発品は33.2%となった。
■後発品割合、5町村で8割突破
さらに、後発品割合を地域別に見たところ、最も高かった市町村は、沖縄県島尻郡与那原町で82.4%、次いで宮崎県児湯郡新富町の82.0%、長野県木曽郡木曽町の81.0%、岩手県九戸郡軽米町の80.4%、島根県鹿足郡津和野町の80.3%と、全国5町村が8割を突破した。