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マンネンタケ科のキノコ「霊芝」から抗インフルエンザ薬のリード化合物を発見-九大

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2015年09月01日 PM03:30

古くから和漢薬・民間薬に利用されるキノコ

九州大学は8月27日、同大大学院農学研究院の清水邦義准教授、朱欽昌特任助教らの研究グループが、近畿大学産業理工学部の大貫宏一郎准教授らと共同で、古くから和漢薬に用いられ、数々の薬効が伝承されているマンネンタケ科のキノコである霊芝(レイシ、Ganoderma lingzhi)から抗インフルエンザ薬のリード化合物を発見したと発表した。同研究成果は、オンラインジャーナル「Scientific Reports」に8月26日付で公開されている。


画像はリリースより

霊芝には薬理活性成分が豊富に含まれており、主要な薬理活性成分であるラノスタン型トリテルペノイド類には、抗がん活性、免疫調節活性、降圧活性、前立腺肥大改善活性、抗糖尿病活性、抗ウイルス活性など多くの薬効を有することが報告されている。具体的には、霊芝から単離されたガノデリオールFやガノデリン酸Bなどのトリテルペノイド類が、ヒト免疫不全ウイルス(-1)が持つタンパク質分解酵素の阻害によりHIV-1に対する抗ウイルス効果を示すことなどがわかっている。しかし、霊芝の薬理活性成分のインフルエンザウイルスに対する効果に関してはこれまで研究が行われていなかった。

新たな抗インフルエンザ薬開発への重要な手がかりに

研究グループは、インフルエンザウイルスH1N1、H3N2、H5N1、H7N9およびオセルタミビル耐性インフルエンザウイルスH1N1、H3N2由来のNAを用いて、霊芝から単離した31種類のトリテルペノイド類のNA阻害活性を比較検討。NA阻害活性に関与するトリテルペノイド類の構造を特定するための構造活性相関(SAR)解析、霊芝トリテルペノイド類とNAの結合部位やNA-トリテルペノイド相互作用に関与するアミノ酸残基を予測するコンピュータによるドッキング解析、また、活性を有するトリテルペノイド類によるNA阻害メカニズムを調べるために、酵素反応速度解析も行ったという。

その結果、ガノデリン酸T-Qおよびガノデリン酸TRが、H1N1およびH5N1のNAに対する阻害剤であることを見出した。特に、ガノデリン酸T-Qは、鳥インフルエンザとして知られるH5N1のNAに対しては、オセルタミビル(商品名:)よりも高い阻害活性を示したという(オセルタミビル IC50=1.85µM ガノデリン酸T-Q IC50=1.2µM)。また、トリテルペノイド類のNA阻害活性には、NAの292位のアミノ酸残基であるアルギニンや119位のグルタミン酸との相互作用が関与していたとしている。

この成果の実用への利用を目指して、同研究グループは現在、さらに霊芝抽出物の抗インフルエンザ活性に関する実験を進めているという。また霊芝には、これまでに100種類以上のトリテルペノイド類が見出されているが、未だ検討されていない霊芝トリテルペノイド類の調査やその構造修飾を行うことにより、より安全で効果的なトリテルペノイド類の探索も継続して行っていくとしている。

▼関連リンク
九州大学 プレスリリース

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