■合田氏が講演
「和漢薬の作用機序・臨床効果」をテーマに22~23の2日間、富山市内で第32回和漢医薬学会学術大会が開かれ、約600人の医師、薬剤師が参加した。現在、認知症の周辺症状に対する抑肝散や、逆流性食道炎への六君子湯など臨床現場で汎用されている漢方薬の作用機序が解明されつつある中で、基礎から臨床における和漢薬研究の新たな方向性に向け議論が行われた。「医薬品の品質保証と生薬および生薬製剤」をテーマに特別講演した合田幸広氏(国立医薬品食品衛生研究所薬品部長)は、日本における天然物医薬品の標準化の必要性を訴え、承認申請を判断するためのガイドラインの作成に向けて学会として取り組むべきとの考えを示した。
合田氏は「(天然物医薬品については)長く議論をしない時期が続いていたがために承認審査基準の進歩から取り残されている。このため、剤形変更や新規の効能・効果が取得できない。そうすると新規の医薬品ができず、この分野全体が停滞する」と強調。その解決に向けては「最後は学会がこのレベルであればいいということを決めていくことが落としどころ。サイエンティフィックな議論をして詰めていくことが必要。そうすれば新しい医薬品の道が開かれ、この分野がより活発になる」との考えを示した。