血液スクリーニング検査のポートフォリオに追加
スイスのF.ホフマン・ラ・ロシュ社は7月22日、献血や通常の臨床診断を目的に採血された血液検体中に存在する抗HTLV-I/II抗体を検出する試薬「Elecsys(R) HTLV-I/II Immunoassay」 の発売を開始したことを発表した。
ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)I型およびII型は、世界で約2000万人が感染しているレトロウイルス。母乳を通じた母子感染、異性または同性間の性行為、汚染された注射針の共有、汚染された血液製剤などによって感染する可能性があるとされている。
2つのHTLV型のうち、HTLV-I型は、より臨床的な影響性を持ち、生命を脅かす成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)や、身体を消耗させるHTLV-1関連脊髄症/熱帯性痙性不全対麻痺(HAM/TSP)に、直接的に関与してきた。HTLV感染は、生涯持続し、現時点では身体からウイルスを排除する治療法はないとされる。
優れた感度と検査時間の短縮で、医療従事者を支援
同製品は、「より信頼性が高く、効果的な検査を実施する」という血液センターや検査室における要望に応えて開発された。その優れた感度は、HTLVの早期または慢性感染を見落とす可能性を最小限とし、感染拡大に対する危険性を軽減するという。
またその特異度の高さによって、全ての疾患ステージで、検査結果の明確で一貫性のある解釈を容易にし、再検査の必要性を最低限に抑えることが可能となる。これにより、検査室の最大効率と患者の安全が実現する。また、効率的な検査手順により、1テストあたりの検査時間が18分となり、安全かつタイムリーに血液製剤を提供することができるという。
同社は、同製品の活用で、今日の血液スクリーニング市場において最も幅広い項目をもった包括的な検査の提案が可能となることに期待を寄せている。
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・ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社 ニュースリリース