アミノピラゾール系化合物群の誘導体最適化に関する提携
武田薬品工業株式会社は7月27日、スイスのDrugs for Neglected Diseases initiative (DNDi)と、内臓リーシュマニア症(VL)の革新的な治療薬開発に向け、アミノピラゾール系化合物群の中から最適な化合物を特定することを目的とした「誘導体最適化プログラム」(Lead Optimization)に協働して取り組む旨の契約を締結したと発表した。
リーシュマニア症は、サシチョウバエが媒介して感染する寄生虫病で、病原体であるリーシュマニア原虫は20種を超える。熱帯地方を中心に世界90か国以上で感染が確認されているが、治療の選択肢が限られており、世界保健機関(WHO)が指定する17種の「顧みられない熱帯病」(NTDs)の1つとなっている。
リーシュマニア症の中でもVLは最も深刻で、発熱、体重減少、脾臓や肝臓の肥大、貧血を引き起こし、治療しないと死に至ることもある。毎年約30万例の新たなVL症例が認められ、2万~4万人の死亡例が報告されているのが現状だ。
GHIT Fundの助成案件に選定、約4億円の助成受ける
DNDiと武田薬品が連携して最適化に取り組むアミノピラゾール系化合物群は、前臨床試験において優れた抗寄生虫活性を示しており、高い安全性と有効性が期待されるという。また、短期間かつ経口投与で治癒効果を示すと考えられることから、VLの既存の治療法とは異なる新たな治療薬となることが期待される。
なお、今回の「誘導体最適化プログラム」は、開発途上国で必要とされる医薬品やワクチン等の研究開発を促進する基金である公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)の助成案件に選定されている。同プログラムに対するGHIT FundからDNDiへの助成金額は約4億円となる。
DNDiと武田薬品は、今回の提携以外にも、「リーシュマニア症およびシャーガス病に対する新薬の発見を加速・拡大するための創薬ブースター」(Drug Discovery Booster)などにおいてパートナーシップを結んでいる。これらの取り組みを通じて両者は、「顧みられない熱帯病」の治療に貢献することを目指すとしている。
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・武田薬品工業株式会社 ニュースリリース