HPP治療薬として世界に先駆けて承認
米国のアレクシオン・ファーマスーティカルズは7月6日、代謝性疾患である低ホスファターゼ症(HPP)の患者に対する治療薬として、「ストレンジック(R)」(一般名:アスホターゼ アルファ)の使用に関する新薬承認申請(NDA)を厚生労働省から承認したと発表した。同剤は、世界に先駆けて日本で初めて承認されたHPPの治療薬となる。
HPPは、複数の身体器官に深刻な影響をもたらす遺伝性、進行性、および代謝性の超希少疾患であり、消耗性または致死的な合併症を引き起こす。骨石灰化不全を特徴とし、骨の変形等の骨格異常のほか、重篤な筋力低下、けいれん発作、疼痛、および呼吸不全などの全身性合併症を生じ、乳児では早期死亡に至ることもある。
この疾患は、組織非特異型アルカリホスファターゼ(TNSALP)と呼ばれる酵素の遺伝子コードの変異が原因で発症するとされる。この遺伝子異常は、あらゆる年齢層の患者に影響を及ぼすという。
治療薬を長く待ち続けてきた患者やその家族にとって大きな転換点
ストレンジックは、HPPの根本的な原因であるアルカリホスファターゼ(ALP)の欠損を解消すべくデザインされた、骨を標的としたファースト・イン・クラスの酵素補充療法。ストレンジックによる治療は、欠乏したALPの補充を通じて酵素基質濃度上昇と骨の石灰化障害を改善し、それにより重篤な骨格および全身性の重篤な病態と早期死亡を予防することを目標としている。
臨床試験でストレンジックの効果を、X線画像でくる病の重症度を評価するRGI-Cを用いて評価したところ、乳児期発症HPP(登録時の年齢が5歳以下)患者において同剤が骨石灰化の迅速かつ持続的な改善をもたらすことが示された。さらに、カプラン・マイヤー分析では、同剤を投与した乳児のHPP患者における168週時点の推定全生存率は84%だったという。
また、ストレンジックを投与した若年期発症HPP患者では、自然経過データベースから抽出した対照群のHPP患者と比較して、優れた骨の健康改善を達成するとともに、歩行、身 体機能、および成長の改善も認められたとしている。
アレクシオンは、米国食品医薬品局(FDa)に対して同剤の生物製剤認可申請を提出し、優先審査対象として受理されている。また、欧州においては、医薬品委員会(CHMP)から小児期発症HPP患者を対象としたストレンジックの販売承認勧告を取得。米国および欧州における規制当局による決定は2015 年下期に行われる見込みだとしている。
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・アレクシオンファーマ合同会社 プレスリリース