スピリーバに対し、COPDの症状等で有意な改善を示す
ドイツのべーリンガーインゲルハイムは7月2日、1日1回吸入のCOPD治療薬チオトロピウム+オロダテロール配合剤「Spiolto(R)Respimat(R)」が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)成人患者の症状緩和を適応として、欧州で承認を取得したことを発表した。
主要な検証試験においてチオトロピウム+オロダテロール配合剤群は、「スピリーバ(R)」と比べて、呼吸機能、息切れ、QOL、レスキュー薬の使用が有意に改善することが示されたという。スピリーバは、あらゆる重症度のCOPDにおいて4000万患者/年に処方されている。
チオトロピウム+オロダテロール配合剤は、スピリーバの有効成分である長時間作用性抗コリン薬(LAMA)であるチオトロピウムと、長時間作用性β2刺激薬(LABA)であるオロダテロールの配合剤。スピリーバ同様、吸入用器具レスピマット(R)ソフトミスト吸入器を用いて吸入する。レスピマットは、薬剤を含んだやわらかく細かい霧を長くゆっくりと生成し噴霧させるという独自の送達システムを有する吸入器。この吸入器で、患者は容易に薬剤を吸入できるという。
全世界で2億1000万人の患者がいるとされるCOPD
COPD患者数は全世界で2億1000万人とされ、2030年までに死亡原因の第3位になると予想されている。患者は一般に、呼吸機能が低下し、薬物療法が必要な状態になった状況で診断される。COPD患者は、息切れや咳などの症状により、多くの場合、活動的でなくなる。活動性の低下により、さらに症状が悪化し、またさらに活動性が低下するという悪循環へつながり、障害と死亡のリスクが上昇するとされている。
チオトロピウム+オロダテロール配合剤の臨床試験では、安定期の管理治療を過去に受けたことがないCOPD患者の部分集団で、呼吸機能の改善がよりみられたという。COPDの安定期治療開始時から最適な管理ができれば、COPDの症状に悩まされる患者が、活動性を維持し、症状をコントロールし、QOLを向上できるものと、同社では期待を寄せている。