ASCOでファーストライン治療の肯定的データを発表
英国・アストラゼネカ社は5月31日、上皮成長因子受容体変異陽性(EGFRm)進行非小細胞肺がん(NSCLC)のファーストライン治療における、現在開発中の「AZD9291」の有効性および安全性に関する初期データを発表した。
今回公表されたAURA第1相試験のファーストライン症例拡大投与群のデータは、シカゴで行われた米国臨床腫瘍学会の年次集会(ASCO)において発表されたもの。データでは、AZD9291を1日1回投与中の患者の81%(95%信頼区間:68~89%)において無増悪生存期間9か月を達成。全奏効率は73%(95%CI:60~84%)であったことが示された。最長奏効期間は継続的に延長されており、データカットオフの時点で13.8か月だったという。
ファーストライン投与群はAZD9291を1日1回80mgあるいは160mg投与された60例のEGFRm進行NSCLC患者で構成。現時点で80mg投与群での追跡期間中央値は約11か月、160mg投与群での追跡期間中央値は約8.5か月だった。
TKIsに高い感受性を示すが、薬剤耐性を生じてしまうEGFRm NSCLC患者
AURA試験の初期データは4月に行われた欧州肺がん学会議(ELCC)において発表された結果に基づいている。ELCCにて発表されたデータでは、患者の38%にしか病勢進行が認められず、AZD9291の80mg1日1回投与を受けたT790M耐性変異陽性を有する既治療のEGFRm進行NSCLC患者が、無増悪生存期間中央値13.5か月(95%CI:8.3か月~測定不能)を達成したことが示されていた。
EGFRm NSCLC患者は、現在入手可能なEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKIs)による治療に対し非常に高い感受性を示しているが、腫瘍はほとんどの場合薬剤耐性を生じ、その結果、病勢が進行する。既承認のEGFR-TKIsであるゲフィチニブあるいはエルロチニブによる治療中の患者の約3分の2において、二次変異であるT790Mによる耐性が生じてしまうという。
AZD9291は、現在開発中の選択性の高い不可逆的阻害剤。アストラゼネカは、新たに同定された耐性に対するAZD9291の潜在的ベネフィットを解明し、単剤療法および他の低分子および免疫治療治験薬との併用療法を含む、異なる治療方針にわたり今後も検討していくとしている。
▼外部リンク
・アストラゼネカ株式会社 プレスリリース