急性心筋梗塞患者の救命率向上に期待
東北大学病院と宮城県は5月29日、大崎市民病院・大崎広域消防本部、みやぎ県南中核病院・仙南広域消防本部、東北大学病院の3者で、救急車からの「12誘導心電図伝送システム」を配備し、6月1日から運用を開始することを発表した。
画像はリリースより
急性心筋梗塞などの心臓病は、発症後の早期診断と治療が極めて重要となる。心臓病が疑われる患者の救急搬送時に、救急車から受け入れ病院へ12誘導心電図や車内映像などのデータを伝送できれば、早期の容態把握が可能になり、発症から緊急治療の準備や実施までの時間が短縮され、患者の救命率向上が期待できる。
この事業では、急性心筋梗塞患者の予後改善のための高度医療を遅延なく、宮城の全県下で効果的に提供できる救急医療システムを実現するために、県北・県南の3次救急医療機関である大崎市民病院およびみやぎ県南中核病院をモデル施設として、救急車(大崎広域消防本部13台、仙南広域消防本部11台)への12誘導心電図伝送システムの配備・試験運用・データ転送確認などを進め、準備を行ってきた。
システムを配備した横浜市では治療までの時間が大幅に短縮
システムの運用開始後は、胸痛患者を救急車に収容後早期に、救急隊が12誘導心電図を記録して、救急車から大崎市民病院・みやぎ県南中核病院へ伝送。大崎市民病院・みやぎ県南中核病院では、患者が病院に搬入される前に、医師が容態を把握して緊急治療の要否を判断し、病院到着から治療までの時間を短縮できる。12誘導心電図電送は、治療チーム招集の判断材料としても有用であるばかりではなく、救急救命士に対して適切な指示を行うことにより、言わば「バーチャルドクターカー」として病院到着前処置も可能になるという。
現在、12誘導心電図伝送システムの配備は、急速に全国的に広がっており、既に市内全救急隊への配備を完了した横浜市などでは、病院到着から治療までの時間が20~30分大幅に短縮されたことが報告されている。
東北大学病院循環器内科は、救急隊および大崎市民病院・みやぎ県南中核病院に対して必要な支援を行う予定。また、救急隊において記録する現着から搬送までの時間経過、大崎市民病院・みやぎ県南中核病院において記録する受け入れから治療に至る時間経過と転帰(治療経過および結果(見通し))をデータ化。その検証を行い、宮城県の救急医療において重要な急性心筋梗塞診療の向上を目指すとしている。
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・東北大学 プレスリリース