オリンピックに向け、罰則つきの規制を求める意見が過半数
国立がん研究センターは5月28日、同センターがん対策情報センターたばこ政策研究部が、東京オリンピックのたばこ対策について東京都民を対象にアンケート調査を行い、その結果と解説を報告書にまとめ、ホームページで公開した。
今回の調査は、3月13~16日にインターネット・アンケートで行われ、回答者は都民 2,375人(男性:1,168人、女性:1,207人)。回答者のうち、喫煙している者(毎日吸っている+時々吸う日がある)は21.8%だったという。調査項目は、罰則つきの規制(法律や条例)の制定について、分煙について、たばこ関係者による分煙に対する取り組み、罰則つき条例制定の見送り方針について、等であった。
調査の結果、東京オリンピックに向けて、罰則つきの規制(法律や条例)を求める意見が過半数だったという。罰則なしの規制(ガイドラインなど)を含めると、都民の4分の3(75.6%)が何らかの規制を導入すべきと考えているようだ。規制導入の対象として、医療施設、公共施設、教育施設、オリンピックの競技施設を挙げた人は8割を越えた。職場やホテル・旅館の客室についても、半数以上の人が規制対象施設に挙げている。
公共空間の禁煙化に向けた本質的な議論の推進を提言
また、受動喫煙防止のために分煙は効果がないと考える人は、75%に達していた。その一方で、効果のない分煙でもやむを得ないと考えている人も多く、分煙に対する取り組みは47.5%が評価すると回答した。罰則付きの条例制定を東京都が見送る方針については、意見は割れているものの、評価しない人が若干上回った結果となった。
今年の厚生労働省による5月31日~6月6日までの禁煙週間のテーマは、「2020年、スモークフリーの国を目指して~東京オリンピック・パラリンピックへ向けて~」。オリンピック開催都市に禁煙を求める背景には、「健康的なスポーツと健康に有害なたばこは相いれない」という考えに基づいている。さらに日本は、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(FCTC)」を批准、締結。同条約でも、たばこの煙に晒されることからの保護を求めている。
この課題は、利害が絡み合意形成が難しいため、FCTC第4条にも謳われているように、政治のリーダーシップが求められる。分煙設備の導入促進という、効果がなく、かつ世界の潮流から取り残される施策へと誘導するのではなく、公共空間の禁煙化に向けた本質的な議論を進め、罰則つきの規制による施設の禁煙化が求められると、国がんは報告している。
▼外部リンク
・国立がん研究センター プレスリリース