後手に回る病院の対応
宮崎県日南市の医療法人春光会東病院で、ノロウイルスと見られる集団感染が発生し、6人が死亡した。
病院で最初に患者が死亡したのは、12月14日。この患者は、嘔吐と発熱の症状だったが、病院ではこの時点でノロウイルスが原因だという認識はなく、嘔吐下痢症と診断していた。
しかし、その後嘔吐と発熱の症状が現れる患者や職員が急増。そのため16日にノロウイルス簡易検査を実施し、5人が陽性となったため保健所に通報したが、死亡者が出ていることは報告をしていなかった。
(ノロウイルスの透過型電子顕微鏡写真 Wikiメディアより引用)
職員を介して感染拡大か
病院では、14日に死亡した患者を含めて、これまでに入院患者と職員の合計44人が嘔吐や下痢の症状を訴えている。
14日以降に死亡したのは、17日に2人、19日、21日、22日に1名ずつだが、死因はいずれも吐いた物が誤って気管などに入ったことによる誤嚥性肺炎だった。
23日時点で職員や患者ら11人が治療中で、そのうち高齢の男女5人が重症だという。
なお、保健所では、職員が使用している前掛けを、汚物を処理した場合その都度破棄するように指導をしていたが、同病院では、品薄のため手に入れることができず1日中使っていた。この事も感染拡大の一因と考えられている。
職員まで感染し人手不足に
同病院は64床。勤務医は2名だが、1名は高齢なため、院長が1名で対応をしていたという。そのため、爆発的に患者が発生した後は、対応に追われ死亡報告などが遅くなってしまったそうだ。
今回の集団感染において、病院側が最初の患者の対応を誤り、汚物処理の対応に問題があったのは言うまでもない。
しかし、気になる問題も浮かび上がってくる。県では
という指摘に対し、病院側は謝罪をしながらも
と苦しい状況を訴えている。
さらに、病院では、職員も感染をしたため人手が足りない状態になっていたに違いない。その状況下で、爆発的に増える患者の対応をどうすればよかったのだろうか。
これからも猛威を振るうと予測されるノロウイルス。嘔吐の症状がある場合はノロウイルスと疑い、感染防止策を徹底する必要があるだろう。
▼外部リンク
宮崎県 医療機関におけるノロウイルスによる感染性胃腸炎の集団発生について
http://www.pref.miyazaki.lg.jp/
四国新聞社
http://www.shikoku-np.co.jp/
毎日jp
http://mainichi.jp/select/news/
医療法人春光会 東病院
http://www1.ocn.ne.jp/~syunko/higashitop.html
国立感染症研究所感染症情報センター
ノロウイルス感染症とその対応・予防
(医療従事者・施設スタッフ用)
http://idsc.nih.go.jp/disease/norovirus/NV0618-b2.pdf