睡眠学会「多くの疑問点があり、改善を要する」
日本老年医学会が「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015(案)」について行っていたパブリックコメントの募集に対して、4月20日に日本睡眠学会が、4月22日に日本うつ病学会がパブリックコメントを提出した。
日本睡眠学会は「エビデンスの収集と評価方法に関する疑義」や「既存ガイドラインとの整合性」、「リスク・ベネフィットバランスの視点の偏り」、「実地臨床における実効性が十分に考慮されていない」、「非薬物療法の現状についての認識不足」の5項目を挙げた。「実地臨床における実効性」の部分では、シェアが数%に過ぎないラメルテオンと上市間もないスボレキサントを「安全性が期待できる推奨薬剤」としたことに対し、処方実績の少なさや安全性に関する臨床データが得られていないことから妥当性と実効性について再検討を強く求めている。
同パブリックコメントでは最後に「多くの疑問点があり改善を要すると考えます。パブリックコメントの内容を十分に吟味し、公表までに信頼性と実効性に富んだガイドラインとなるよう改訂していただくことを強く希望します」としている。
うつ病学会「GL作成委員会間での協議を」
日本うつ病学会は、今回の「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」について、「具体的で実践的な方法を提案」している、とその取り組みを評価する一方、CQ設定の単純化・一般化やエビデンスの偏り、リスク・ベネフィットの不十分な衝量、高齢者の個人差やうつ病の多様性の考慮が足りない、とした問題を指摘。「新規抗うつ薬登場以前に発症し、長い経過の末にようやく寛解にいたったうつ病症例に関して、その維持投薬の現状にドラスティックな変更を要求するように思われる記述も」(同学会パブリックコメントより)あるとし、熟慮塾考を求めている。
日本うつ病学会では、「患者さんやそのご家族、医師、医療関係者に誤解を与えかねないと思われる内容も含まれて」(同パブリックコメントより)いるとし、老年医学会に対し、うつ病ガイドライン作成委員会間での協議を提案している。
これに対し、日本老年医学会は、
と同学会ホームページでコメントした。
▼外部リンク
・日本睡眠学会 日本老年医学会「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」に対する日本睡眠学会の意見書
・日本うつ病学会 「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン 2015」(案)に対するコメント