NTTが開発した光偏向器や可変焦点レンズへの適応に期待
大阪大学は4月20日、同大大学院医学系研究科の近江雅人教授らの開発チームが、光学材料であるタンタル酸ニオブ酸カリウム(KTN)結晶の光偏向器としての機能を利用した、高速な鉛直断面光断層干渉計測システム(En face OCT)の開発に成功したと発表した。
画像はリリースより
KTN結晶は、日本電信電話株式会社(NTT)がこれまでに開発した光偏向器や可変焦点レンズへの適応が期待される材料。今回、同開発チームは印加電圧に対して、レーザー光の出射角度を高速(現在は200kHz程度)制御可能な偏向器としての特性に着目し、OCT技術に適用することで、従来のタイムドメイン方式OCTでは達成することができなかった、従来の100倍以上という大幅な速度の向上を実現したという。
皮膚疾患診断の解析、眼科医療診断などの分野への応用に期待
開発グループは、今回のOCT計測の新たな医療診断の適用分野として、皮膚科学分野への応用を目指していると報告。OCT計測の高速化・高密度化によって、非侵襲(低侵襲)で皮膚構造を2次元および3次元で解析する技術は、皮膚疾患の新たな診断法として期待されている。
また、精神性発汗の動態解析については、高速なOCT計測で発汗量の時間変化を追跡することにより、交感神経異常に関わる多汗症やその他の発汗異常症の診断に有効な手法になる可能性もある。この新たに考案されたKTN光偏向器とOCT技術の融合を基盤とし、将来的にKTN光偏向器を含めたOCTプローブの小型化目指すことで、眼科医療診断やその他研究用途など、さまざまな医療診断への応用も期待できるとしている。
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・大阪大学 研究情報