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腫瘍融解ウイルス 「テロメライシン」の臨床研究に関する中間報告を発表-岡山大

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2015年04月15日 PM07:00

がん細胞を殺傷し、放射線に対する感受性を増強するウイルス製剤

岡山大学は4月10日、同大大学院医歯薬学総合研究科 消化器外科学分野の藤原俊義教授、白川靖博准教授らの研究グループが、食道がんに対する腫瘍選択的融解ウイルス製剤「」(Telomelysin、OBP-301)を用いた放射線併用ウイルス療法の臨床研究で、7例の食道がん患者に治療を実施し、その安全性と有効性に関するデータを公開した。


画像はプレスリリースより

テロメライシンは、岡山大学で開発された国産の抗がんウイルス製剤。風邪ウイルスの一種であるアデノウイルスのE1領域に、多くのがん細胞で活性が上昇しているテロメラーゼという酵素のプロモーターを遺伝子改変によって組込み、がん細胞中で特異的に増殖してがん細胞を破壊する。

岡山大学発のベンチャー企業であるオンコリスバイオファーマ株式会社が米国で実施した、がん患者に対するテロメライシン単独の臨床試験において、重篤な副作用は認められておらず、投与部位での腫瘍縮小効果などの有効性が認められている。

食道がんに対する、放射線治療を併用したウイルス療法を実施

研究グループは、2013年11月29日から、食道がん患者を対象にテロメライシンの内視鏡的腫瘍内投与と放射線治療を併用する臨床研究を開始。治療は、第1日目に局所麻酔下に内視鏡を用いて胸部食道の患部に0.2mlずつ5か所に計1mlのテロメライシンを投与。第4日目から週10Gyの放射線治療を6週間、計60Gy実施し、その間に第18日目と32日目にテロメライシンの腫瘍内投与を追加するというものだ。

レベル1(1×1010 virus particles(vp);低容量)では、53~92歳の食道がん患者7例に治療が実施され、有害事象として発熱、食道炎、放射線肺臓炎、白血球減少などが40%以上でみられた。リンパ球減少は全例に認められたが、放射線治療の中断などで回復している。内視鏡的には7例中5例で腫瘍縮小が認められ、2例では組織検査でがん細胞が消失(CR)。治療前に抗がん剤が使用された2例では、1例が不変(SD)、1例が進行(PD)で試験から脱落したという。今後は、レベル2(1×1011 vp;中容量)、レベル3(1×1012 vp;高容量)へと進めていき、有効性を検証。また、オンコリスバイオファーマと医師主導治験への移行も検討しているという。

今回の臨床研究が順調に進めば、テロメライシンは手術や標準的な抗がん剤治療が難しい高齢の食道がん患者などで、低侵襲で安全な治療法となることが期待できると研究グループは述べている。

▼外部リンク
岡山大学 プレスリリース

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