腎臓総容積の年間増加率を49%有意に抑制
大塚製薬株式会社は2月27日、同社子会社である大塚カナダファーマシューティカルInc.が、成人の常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)の初めての治療薬として「JINARC(TM)」(海外商品名:ジンアーク、一般名:トルバプタン)の承認をカナダ保健省より取得したことを発表した。
今回の承認は、ADPKDを対象に実施された第3相試験(TEMPO3:4試験)の結果に基づくもの。ADPKD患者を対象とした同試験において、JINARCは、プラセボと比較して腎臓の総容積の年間増加率を約半分(49%)有意に抑制し、また、腎機能の低下を30%有意に抑制した。
日本に続き、世界で二番目となる承認
カナダ・トロントの腎臓専門医サンジェイ・パンデヤ氏は、プレスリリース内で以下のように述べている。
「ADPKDの患者さんの多くは腎臓ののう胞が大きくなることで生じる激しい痛みに苦しんでいます。他の臓器が影響を受けることもあり、多くの患者さんは腎不全となるので、明らかに身体全体の健康や生活の質に影響を及ぼします。この度の『JINARC』の承認は、これまで薬がないために希望の光がなかったADPKD治療にとって画期的な前進となります。のう胞の増大を抑制し、症状を改善し、この深刻な病気の進展を遅らせることで患者さんにとっての新しい治療選択肢となり得ます」
JINARCは、バソプレッシンV2受容体を介してcAMPの産生を抑制することにより、腎のう胞の増殖・増大が抑えられることが発見され、同社が2004年から世界の専門医と共同してADPKD治療薬の開発を推し進めてきたもの。2014年に製品名「サムスカ」として、日本で最初にADPKD治療薬として承認され、カナダでの承認が2番目となった。現在、欧州では承認申請中。
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・大塚製薬株式会社 プレスリリース