腎動脈狭窄評価の有用性が臨床エビデンスとして論文掲載
東芝メディカルシステムズ株式会社は1月6日、同社が後援する国際多施設共同研究「REACT(リアクト)」の研究成果に関する論文が「AJR」(American Journal of Roentgenology)誌に掲載されたことを発表した。
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この論文は、非造影撮像法であるTime-SLIP(Time-Spatial Labeling Inversion Pulse)法による腎動脈狭窄評価の臨床的有用性を、CTアンギオグラフィ―(CTA)と比較して立証したもの。さらに造影剤を用いるCTAと比べ、非造影撮像のTime-SLIP法が安全な代替評価手法となり得る可能性を証明したとしている。
同社は、腎動脈狭窄の診断ツールとしての非造影MRAの有用性を検証するため、米国、フランス、スペイン、中国、日本の5か国7施設と共同でREACTを立ち上げた。この背景には、FDAが2006年に慢性腎疾患患者だけでなく末期腎疾患、急性腎不全の患者にガドリニウム系造影剤を使用することによって、腎性全身性線維症(NSF)を発症する危険があるという警告を発表したことがある。
ガドリニウム系造影剤に伴うリスクを排除したMR検査の実現
REACTでは被験者75名に対し、腎動脈狭窄の評価を目的として非造影腎MRA検査、及びCTアンギオグラフィーを実施し、データの解析を行った。その結果、CTAを参照基準としたとき、腎動脈狭窄の検出における患者ベースの非造影MRAの診断精度は0.90、感度と特異度はそれぞれ0.74、0.93。また、非造影MRAの画質評価は96%の症例で “good”または “excellent”となり、「ゴールドスタンダード」であるCTAと比較しても非造影MRAが腎動脈の有意狭窄 (>50% を有意狭窄と定義)の有無を判断する正確な手法であることを示したと報告している。
東芝メディカルシステムズ社長の瀧口登志夫氏はニュースリリースで、「当社独自の先進的非造影MRAは非侵襲的で痛みのない手法であり、ガドリニウム系造影剤に伴うリスクを排除するだけでなく、セットアップにかかる時間も短縮できるため、画質を損なうことなくより快適な、より短時間で終わるMR検査を患者さんに提供できます」と述べている。(大場真代)
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・東芝メディカルシステム株式会社 ニュースリリース