■多極時代 16年1月から始動
日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)は、台頭する新興国などの取り込みを目指したグローバルな枠組み「ICH協会」を来年に設立する。日米EU3極の時代は幕を閉じ、グローバルな枠組みの新たなICHが始動する。新生ICH協会は、2016年1月から稼働予定で、国際共同治験や医薬品製品ライフサイクルの管理等、新規トピックのガイドライン化に取り組んでいくことになる。
11日に開いたICH即時報告会で、日本製薬工業協会の岸倉次郎氏が報告した。日米EUが主導してきたICHが新たな時代を迎える。今年のミネアポリス会合では、運営委員会メンバーにカナダ、スイス規制当局の参加が合意されたが、11月のリスボン会合では、ICHをグローバルな枠組みに発展させる「ICH協会」の設立に向け基本合意した。
ICH協会は、総会、執行委員会、事務局、監査で構成し、最高決定機関の総会は、全会員で構成する。執行委員会は、ICH協会の開始2年間の16年、17年は、欧州連合(EU)、FDA、厚生労働省/医薬品医療機器総合機構(PMDA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、日本製薬工業協会(JPMA)の創始団体と、カナダ厚生省、スイス連邦医薬品局の8常任委員で運営する。
非常任委員は、任期4年。総会で行政、業種別のグローバル業界代表から選出する。また、オブザーバーとして、世界保健機関(WHO)、製薬業界(IFPMA)が加わる。18年以降の執行委員会は、8常任委員に非常任委員として行政4団体、業界2団体を追加し、構成団体を14団体に拡大する予定。
協会の会員は、ICHガイドラインの履行、遵守状況等の基準に適格していることとし、非適格者はオブザーバーとなる。また、組織運営、総会・執行委員会の権限、会員規則等の会則についても基本合意に達した。
ガイドラインの作成に当たっては、全体で合意形成することを原則としつつ、合意できない場合には、EU、米国、日本の3創始行政の意見が優越することとした。ただ、業界意見を取り入れたガイドライン作成の重要性は評価する。
財務に関しては、これまで業界が負担していた貢献の重要性を踏まえ、会費運営とする。事務局経費や年2回の定例国際会議費等のICH活動経費を一括管理し、EU、米国、日本の3創始業界と3創始行政が等分に負担することとした。