ほぼ完全に阻害されたフィブリン形成を正常化
独ベーリンガーインゲルハイム社は11月19日、同社が開発中の中和剤「idarucizumab」の投与により、血液凝固および血栓形成メカニズムに対する「プラザキサ(R)」(一般名:ダビガトランエテキシラート)の効果を中和させることが、新たな試験データによって明らかになったと発表した。
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同試験は、健常被験者を対象とし、プラザキサを服用後にidarucizumabを投与。紙で切ったときのような小さな擦過傷を作った後、フィブリン形成が評価された。その結果、idarucizumab投与後は血液凝固系が正常化され、血液凝固メカニズムにおいて重要な要素であるフィブリン形成が再び可能になることが示されたという。また、idarucizumabの忍容性は良好であり、臨床的に問題となる副作用は生じなかったとしている。
なお、idarucizumabは、今年6月に米国食品医薬品局(FDA)から「画期的治療薬」の指定を受けている。
臨床現場での国際第3相試験を29か国で開始
本年5月からグローバルで進行中のRE-VERSE AD(TM)試験では、臨床現場でプラザキサを服用中で、従来の治療で対処困難な出血を発症した患者、あるいは緊急処置を要する患者を対象にidarucizumabを評価している。この試験は、健常被験者ではなく患者を対象とした新規経口抗凝固薬に対する中和剤を評価する初めての臨床試験である。
ベーリンガーインゲルハイムの循環器疾患領域バイスプレジデントであるJörg Kreuzer氏はプレスリリースで、
「当社が開発しているプラザキサに対する特異的な中和剤は、医療現場でダビガトランの抗凝固作用を迅速に中和することが必要な状況で、新たな治療の選択肢を医師に提供するものとなるでしょう」
と述べている。(横山香織)