治療と生活の両立について、患者・医師間に認識の差も
2型糖尿病患者の4人に3人は、糖尿病治療薬について、決められた服用/使用回数を守れておらず、治療と生活の両立の難しさが要因にあること。そして、その悩みを医師に相談できていないことが分かった。これは、日本イーライリリー株式会社が2型糖尿病患者と医師に対して行った「2型糖尿病治療とライフスタイル意識調査」によるもの。
奈良県立医科大学糖尿病学講座 石井均教授
2型糖尿病患者に対し、決められた服用/使用回数を守れないことがどのくらいあるかを聞いたところ、「まったくない」と回答した患者は全体のわずか24.5%。実に4人に3人が服薬コンプライアンスが不良であることが分かった。その理由として最も多かったのが、「外出するときに薬剤を持っていくのを忘れる」だった。また、治療と生活の両立の難しさについて、医師に要望・不満を伝えることができている患者は25.8%である一方、医師は53.1%が「要望を確認できている」と回答。患者と医師の間に認識の差があることが明らかになった。
今回の調査結果について、同社の広報・CSR部の白井未佳氏は、11月21日に東京・丸の内で開催されたメディアセミナーで「2型糖尿病患者さんは忙しい毎日を送っており、生活に支障なく自分のライフスタイルにあった治療を求めています。個々のニーズに合った治療を受けるために、医師に積極的に生活上の課題について相談をすることが望まれます」とコメント。
日本は糖尿病患者の心理状態の評価実施率が低い
さらに、同セミナーで講演した奈良県立医科大学糖尿病学講座の石井均教授は、糖尿病治療において、患者のQOLを高めることの意義を強調。
「日本では糖尿病患者の心理状態の評価実施率が低い現状があります。その背景には、医師の多くが患者とコミュニケーションをとることに対する価値を見いだせていないことがあると思います。患者さん一人ひとりの事情や背景などに合わせた治療とコミュニケーションをとることで、QOLを高めることは治療実行度が上がるだけでなく、患者さんの未来のQOLを高めることにもつながります。同じお薬を処方しても、コミュニケーションの取り方で、アドヒアランスや患者さんのQOLが変化するということを体験する医師が増えていけば、この現状は変わるかもしれません」と語った。(QLifePro編集部)
▼外部リンク
・日本イーライリリー株式会社 プレスリリース