病院はおいしい食事を提供する必要はない?
入院患者にとって、楽しみはお見舞いと食事。しかし、病院の食事はまずいというのが、入院を経験した人の感想ではないだろうか。
では、なぜ病院食はおいしくないのか?それは、病院は食事を提供するのが目的ではなく、治療をする所だからだ。「栄養バランスを整えた食事を出しさえしていればいい」病院がそう考えるのは当然であろう。
しかし、患者にとって、それはどうだろう。「寝ているだけの入院生活、毎日の楽しみの食事はおいしくない、気力も湧いてこない」では、治るものも、治らないかも知れない。
(この画像はイメージです Wikiメディアより引用)
「病院食はおいしくない」を覆した病院
しかし、「食べる」という行為は、健康や症状の回復に大きな影響を与えているとも言える。
大阪府吹田市の国立循環器病研究センター病院では、この点に着目。食べることも診療の一つと位置づけ、おいしい食事を患者に提供することで、患者の抵抗力や体力の低下を防ぐことを心がけている。
国循では、まず調理師がメニューを作り、その後栄養士が塩加減など様々な調整を実施。栄養バランスを重視しつつ、おいしい食事を提供するようになった。
すると、食事に対するクレームはここ数年間まったくないため看護師の負担は減り、逆に感謝のメッセージを受け取るほどに。そして、その患者からの声が、裏舞台で奮闘する調理師や栄養士達に「誇り」を与え、ますますおいしい食事を提供したいという「やる気」にもつながっているそうだ。
人間食べられなくなったら、何を楽しみに生きていけばいいのか分らなくなる。例え寝たきりになっていても、おいしい物は食べたいだろう。そういった患者の思いを考えた国立循環器病研究センター病院の試みは、すばらしいと言えるのではないだろうか。
▼外部リンク
日経ビジネスオンライン
大阪府の国立循環器病研究センター病院・その1
http://business.nikkeibp.co.jp/
国立循環器病研究センター病院
http://hospital.ncvc.go.jp/