タカラバイオ、CiRAとの協力により
独立行政法人新エネルギー・産業総合開発機構(NEDO)は10月30日、ヒトiPS細胞から心筋細胞を大量製造する事業を開始すると発表した。これは、同機構とタカラバイオ株式会社、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)によるもの。内閣府の「科学技術イノベーション創造推進費」の一部から経済産業省に配分された調整費を活用して実施される。
画像はプレスリリースより
新薬開発コストの大半を占める臨床段階において、心臓に対する副作用で開発中止となるケースはおよそ20%と最も多く、新薬開発のコスト増の要因となっている。よって、非臨床段階で心臓に対する副作用を正確に予測することが重要とされる。そこでNEDOらは、医薬品の心臓に対する不整脈などの副作用予測に利用するための、ヒトiPS細胞由来心筋細胞の大量製造技術の開発に着手するとしている。
2015年度中の商用製造開始を目指す
心臓に対する安全性評価は、臨床試験の廃止(ICH-E14の廃止)と非臨床試験の見直し(ICH-S7B改訂)の国際的議論が起こっている。日本では、国立医薬品食品衛生研究所を中心として、ヒトiPS細胞由来の心筋細胞を利用した新たな安全性評価試験法を提案するため、検証試験を行っているが、現在用いられているiPS細胞由来の心筋細胞は、品質の差があるなど問題を抱えている。
この現状を受けNEDOは、CiRAの山下潤教授が開発したiPS細胞から心筋細胞への分化誘導技術をベースとし、新しい安全性評価試験法で求められる品質を備え、製造ロット間の差がない心筋細胞の大量製造を可能とする製造工程の確立をタカラバイオとともに目指すという。その際、国立医薬品食品衛生研究所を中心とするグループと連携、心筋細胞の評価を依頼し、そのフィードバックを元に改善を行いながら開発を進めるとしている。
タカラバイオは、このプロジェクトで開発した技術をもとに、2015年度中の心筋細胞の商用製造開始を目指す。この技術を確立することで、医薬品の副作用予測に利用される心筋細胞の市場は、5年後に100億円規模にまで成長すると期待されている。(QLifePro編集部)
▼外部リンク
・独立行政法人新エネルギー・産業総合開発機構 ニュースリリース