高ビリルビン血症関連の死亡例報告で
厚生労働省は10月24日、ヤンセンファーマ株式会社のC型慢性肝炎治療薬「ソブリアード(R)カプセル 100mg(一般名:シメプレビルナトリウム)」について、高ビリルビン血症関連の死亡例が報告されていることを踏まえ、ブルーレター(安全性速報)を発出し、注意喚起を開始した。また、同剤添付文書「使用上の注意」の改訂も求めている。
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ソブリアードカプセルは、2013年12月6日の販売開始。今年10月10日までの推定使用患者数は18,900人とされている。販売開始当初から添付文書で高ビリルビン血症に対する注意喚起が行われてきた。
しかし現時点までで、同剤との因果関係が否定できない国内死亡例が3例報告されたことから、あらためて「使用上の注意」の警告欄などに注意事項を追記させるとともに、ブルーレターを発出して、十分な注意を行うよう促すこととしたという。
著しいビリルビン値の上昇、肝臓・腎臓の機能障害が発現
公表されている死亡例では、40代男性が67日間の投与を受け、高ビリルビン血症を発現。中止18日後には肝不全を発現した。その後、中止21日で、免疫低下による細菌性敗血症、肝不全、腹膜炎が死因となり亡くなった。併用薬はペグインターフェロン アルファ-2b、リバビリン、ロスパスタチンカルシウム、オロパタジン塩酸塩。
60代男性のケースは、2型糖尿病と十二指腸潰瘍を合併症とする慢性C型肝炎患者で、91日間の投与を受けている。投与終了15日後に胆汁うっ滞型薬剤性肝障害および急性腎不全を発現し、クレアチニンと総ビリルビンの顕著な上昇がみられた。終了46日後に胆汁うっ滞型薬剤性肝障害、急性腎不全、多臓器不全により死亡している。併用薬はリバビリン、ペグインターフェロン アルファ-2a、ロキソプロフェンナトリウム水和物、フェキソフェナジン塩酸塩だった。
厚生労働省は、投与中の定期的な血中ビリルビン値の測定を徹底すること、血中ビリルビン値の持続的上昇など異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと、投与中止後も血中ビリルビン値が上昇することがあるため注意深い観察を継続すること、患者に対して投与後に眼球や皮膚の黄染、褐色尿、全身倦怠感などが現れた場合には直ちに医療機関を受診するよう指導することを求めている。