免疫関連遺伝子の発現が増加
富士フイルム株式会社は10月16日、サラシア属植物のヒトの免疫力に対する作用に関して、東京医科歯科大学、東京大学と共同で試験を行い、サラシア属植物抽出エキスを摂取することで、血液細胞の免疫関連遺伝子の発現が増加するというメカニズムを解明したと発表した。
画像はプレスリリースより
サラシアは、インドやスリランカなど南アジア地域に自生するデチンムル科のサラシア属植物の総称。インドのアーユルヴェーダにおいては、初期の糖尿病治療に使用されてきた。また、近年では、サラシア属植物抽出エキスに含まれるサラシノール、コタラノール等が、腸内でオリゴ糖の分解を促進する酵素の活性を阻害することも確認されており、この摂取が小腸での糖の吸収を抑制し、血糖値上昇を抑える効果があると分かっている。
同社はこれまでに、サラシアを摂取することで腸内の善玉菌が増加し、悪玉菌が減少すること、免疫力の指標とされウイルスなどの異物に反応して体内でつくられるT細胞やナイーブT細胞が増加することを、ヒト試験で確認している。
腸内細菌叢に変化、T細胞増殖係数が向上などを確認
今回の試験は、健常な50歳以上60歳未満の男性30名を対象とし、サラシア摂取群(15名)と、プラセボ食摂取群(15名)に分け、二重盲検並行群間比較法で実施された。サラシア摂取群はサラシアを1日あたり240mg、プラセボ群はプラセボ食品を4週間継続して摂取。それぞれ摂取前と摂取後に採血・糞便の採取を行い、「ラシア摂取群を対象とした、血液細胞の発現変動した遺伝子数の測定」「腸内細菌叢の測定(T-RFLP法)」「T細胞増殖係数の測定」を行った。
その結果、サラシアを摂取すると、摂取前と比較して血液細胞の2,065遺伝子の発現が変動することを確認。発現変動した遺伝子を生物学的機能に応じて分類すると、多数の免疫関連遺伝子、特に細胞性免疫(Th1細胞)に関わる遺伝子が発現増加していたという。また、大腸内で善玉菌が有意に増え、悪玉菌が有意に減ることが確認されたとしている。さらにはT細胞増殖係数がプラセボ群と比較して有意に向上。防御能力が高まることを確認したという。
同社は今後、サラシア属植物をサプリメントに応用するとともに、さらなる機能の解明を進めるとしている。
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・富士フイルム株式会社 ニュースリリース