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経口薬として唯一 体重減少作用を有するSGLT2阻害薬への期待

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2014年09月03日 PM06:00

、第一三共が糖尿病メディアセミナーを開催

本年に入り、承認、発売が相次ぐ糖尿病治療薬「SGLT2阻害薬」。田辺三菱株式会社と第一三共株式会社が9月3日から販売を開始した「カナグル(R)錠100mg(一般名:カナグリフロジン水和物)」の登場により、国内で販売されるSGLT2阻害薬は5成分6製品となった。


京都大学大学院医学研究科
・内分泌・栄養内科学
稲垣暢也教授

SGLT2阻害薬は、近位尿細管に発現するSGLT2(Sodium Glucose Transporter 2)の働きを阻害し、糖を尿中へと積極的に排出するというこれまでの糖尿病治療薬とは異なる作用機序を有することから注目を集めているが、経口薬としては唯一、体重減少効果が期待できることも、同薬の重要な特徴といえる。これまでも体重減少効果が期待できる糖尿病治療薬としてはGLP-1受容体作動薬があったが、これは皮下注射薬であり、患者からすると使いやすい薬とは言い難かった。

日本人の2型糖尿病患者の平均BMIは、ここ10年でおよそ1kg/m2上昇しており、肥満の解消も糖尿病治療のひとつのポイントとなりつつある。田辺三菱と第一三共が8月27日に開催したメディアセミナー「Diabetes Update Seminar」で講演した京都大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌・栄養内科学の稲垣暢也教授は「これまで日本人の糖尿病患者はやせ型が多いとされていたが、2013年の時点では平均BMIが25.00kg/m2となっている」と語り、肥満対策の必要性を示し、SGLT2阻害薬への期待を明かした。

併用療法に加え、国内でも単剤療法での使用が可能に

一方、SGLT2阻害薬に関しては、上市から間もないこともあり、その副作用に関しては未だ明らかになっていない部分もある。日本糖尿病学会「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」から8月29日に発表された「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」の改訂版でも予想された副作用である尿路・性器感染症だけでなく、重症低血糖、ケトアシドーシス、脳梗塞、全身性皮疹などの重篤な副作用の増加が指摘されている。

中でも重症低血糖については、インスリンとの併用が9例、SU薬との併用が4例となっている。これについて稲垣教授は「インスリンとの併用例でもっとも多くなるということは予想されていなかった。これは、SGLT2阻害薬を投与すると4週間ほどで血糖値がすとんと落ちる。それにともなって糖毒性が急激にとれ、インスリンが良く効くようになるために起こるのではないか」と考察。SGLT2阻害薬とインスリンを併用する場合は、これらの使用量をあらかじめ減量する必要があるとした。

最後に稲垣教授は「SGLT2阻害薬は国内治験でインスリンとの併用を行っていない。PMDAは、インスリンとの併用を添付文書上では禁じていないが、各社に治験を求めている。その結果が出るまで、インスリンとの併用は、できるだけ控えるべきではないかと考えている」とし、今後もSGLT2阻害薬の動向を深く見守るよう、注意を呼びかけた。(

▼外部リンク
日本糖尿病学会「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」

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