放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がんを対象に
エーザイ株式会社は7月31日、同社の子会社である英国のエーザイ・ヨーロッパ・リミテッドが、自社創製の新規抗がん剤「レンバチニブメシル酸塩(一般名、レンバチニブ)」について、欧州医薬品庁(EMA)から、放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がんを対象に、迅速審査の指定を受けたことを明らかにした。
EMAによる迅速審査指定は、公衆衛生および治療上の革新性の観点から、多大な貢献が期待される薬剤に対して行われるもの。この指定を受け、早期に欧州での新薬承認申請手続きが進められるものとみられる。
エーザイでは、欧州および米国におけるレンバチニブの新薬承認申請を、今年第2四半期中にも行うとしている。なお、同剤に関しては、日本国内では今年6月、世界に先駆けて承認申請が行われている。
ファーストインクラスの薬剤として期待
レンバチニブは、血管新生や腫瘍の増殖に関与するVEGFR、FGFR、PDGFRα、KIT、RETといった受容体チロシンキナーゼに対し、選択的阻害活性を有する薬剤。経口投与が可能な新規結合型選択的チロシンキナーゼ阻害剤と位置づけられている。
特にVEGF受容体のみならず、FGF受容体のRTK活性を同時に阻害するという特徴を持つことから、ファーストインクラスの資質を持つ薬剤として期待されている。現在同剤は、日本、米国、欧州の各当局から甲状腺がんにかかる希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けている。
エーザイは、今後もレンバチニブによるがん治療の可能性を引き続き追求し、多様な治療選択肢の提供によるニーズの充足と、ベネフィット向上に寄与していきたいとしている。(紫音 裕)
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・エーザイ株式会社 ニュースリリース