治療成績向上の期待と共に分子標的薬特有の問題にも対処
バイエル薬品株式会社は7月29日、先月行われたネクサバールの根治切除不能な分化型甲状腺がんに対する追加効能・効果の承認を取得したことを受け、「甲状腺癌治療の最前線~分子標的治療薬の登場で何が変わるか~」と題したプレスセミナーを開催。日本医科大学内分泌外科講座の杉谷巌教授と国立がん研究センター東病院 頭頸部内科の田原信科長による講演と対談が行われた。
日本医科大学内分泌外科講座
杉谷巌教授
「甲状腺癌治療のこれまでとこれから」と題した杉谷教授の講演では、「甲状腺がんの大多数を占める危険度の低いものは従来通りだが、予後不良の危険度の高いものには分子標的薬は期待ができる。しかし手足症候群など特有の副作用など解決すべき課題もある」という。
田原頭頸部内科科長の講演「DECISION試験結果からみるネクサバールの可能性」では、試験の内容とともに、副作用に対する適切な支持療法が治療継続には必要としながらも今後の外科的治療の成績向上も踏まえて、分化型甲状腺がんの治療成績のさらなる向上が期待されるとした。
患者を中心としたチーム医療体制が重要
国立がん研究センター東病院 頭頸部内科
田原信科長
「甲状腺癌治療を取り巻く環境変化の兆し」と題した杉谷教授と田原頭頸部内科科長の対談では、分子標的薬の登場で変わる甲状腺がんに対するチーム医療体制について言及。
杉谷教授は「従来は外科医が診断から手術、術後フォローまで一手に担ってきた。これからは腫瘍内科医ほか協力しながらチーム医療が必要」だという。田原頭頸部内科科長は「ネクサバールは患者のベネフィットも高い一方でリスクもあるため、投薬マネジメントが重要。腫瘍内科医の出番ではないかと考える」という。
患者を中心としてそれぞれの専門医が関わっていくチーム医療が重要。ネクサバールを使うタイミングも外科医や腫瘍内科医だけの判断だけではなく、チーム全体の判断でベストのタイミングを見極めることが大切とした。(QLifePro編集部)
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・バイエル薬品株式会社 ニュースリリース