中外ファーマ・マーケティングとZeltia社子会社が欧州におけるライセンス契約を締結
中外製薬株式会社とZeltia S.A.(Zeltia社)は7月15日、Zeltia社のがん領域を担う100%子会社であるPharmaMar社が開発中の多発性骨髄腫治療薬「Aplidin(R)(一般名:plitidepsin)」について、中外製薬の100%子会社である中外ファーマ・マーケティング・リミテッド(以下、CPM)の欧州8か国における販売ライセンス契約を7月14日に締結したと発表した。
画像はwikiメディアより引用 Author : Nephron
対象となる欧州8か国は、フランス、ドイツ、英国、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ、アイルランド、およびオーストリア。この契約に基づき、PharmaMar社は500万ユーロの契約一時金と、開発、申請、承認および販売に関し、3000万ユーロ以上のマイルストーンを受領する。PharmaMar社は独占的製造権を保有し、製品をCPMに供給するという。
第3相臨床試験が進行中、欧州以外での承認取得も検討
Aplidinについては、現在再発および難治性多発性骨髄腫を対象とした第3相臨床試験のADMYRE試験が進行中である。同剤は、デキサメタゾンとの併用療法と、デキサメタゾン単独療法を比較した第2相臨床試験で、良好な安全性プロファイルと有効性を示すことが確認されている。欧州において多発性骨髄腫に対する希少疾病用医薬品に指定されており、その製造販売承認申請は、2015年第4四半期を予定しているという。なお、欧州承認に向けた一連のデータを含む申請書類は、欧州以外の40カか国以上でも使用可能となっており、PharmaMar社では、これらの国々での製造販売承認取得も視野に、検討を進めている。
同剤は、海洋産物由来の抗がん剤。ホヤの一種であるAplidium albicansから単離され、現在は化学合成されている。多発性骨髄腫に対する第3相臨床試験のほか、固形がんおよびT細胞リンパ腫といった血液がんに対する第2相臨床試験も実施されているという。
CPMは、今回の契約対象となる国々で、血液がん領域における販売体制を確立しており、同剤が承認されれば、新たな治療選択肢を迅速に市場浸透させ、同剤の価値を最大化できると述べている。また、その新たな作用機序から、多発性骨髄腫患者に真に有効な治療選択肢を提供することが可能になるとしている。(紫音 裕)