第3相試験でメトトレキサートを上回る効果
米ファイザー社は6月18日、同社の「ゼルヤンツ(R)(一般名:トファシチニブクエン酸塩)」に関するORAL Start試験の2年間の結果が、「The New England Journal of Medicine」(NEJM誌)の6月19日号に掲載されることを発表した。
ORAL Start試験は、メトトレキサート(MTX)未治療の中等度から重度までの活動性関節リウマチ患者を対象とした第3相試験。ゼルヤンツ単剤療法が構造的関節破壊の進行抑制および関節リウマチの徴候、症状の軽減に関し、MTXを有意に上回る効果を発揮することが確認されたという。
ゼルヤンツ単剤療法の有効性・安全性を示すエビデンスに
同試験は、MTX未治療の中等度から重度までの活動性関節リウマチ患者956人を対象とした、24カ月間無作為化二重盲検対照試験として実施された。患者はゼルヤンツ5mgまたは10mgを1日2回単剤投与する群と、MTXを週20mgに達するまで8週間かけて漸増投与する対照群に割り付けられている。
主要評価項目の6カ月目の時点で、疾病進行抑制はmTSS法測定のX線画像ベースライン平均変化で、MTX群が0.84だったのに対し、ゼルヤンツ5mg投与群は0.18、10mg投与群は0.04、ACR70反応率で評価した臨床反応はMTX群12.0%、ゼルヤンツ5mg投与群で25.5%、10mg投与群で37.7%だったという。
また、HAQ-DIに基づくベースラインからの平均変化で測定した身体機能改善評価でも、6カ月目でMTX群が-0.58であるのに対し、ゼルヤンツ5mg投与群では-0.83、10mg投与群で-0.94と、ゼルヤンツ単剤投与の優越性が示された。これらの結果は、24カ月目までのすべての評価時点において持続したとしている。
同試験におけるゼルヤンツの安全性プロファイルは、過去の臨床開発プログラムで確認されたプロファイルと一致し、有害事象、重篤な有害事象、および有害事象による試験中止発生率は、すべての試験群で同等であったという。ほとんどの有害事象は軽度から中等度で、最も一般的に報告された有害事象は感染症となっている。
現在ゼルヤンツは、MTX未治療の患者には適応されていない。ORAL Start試験の結果は、関節リウマチのアウトカムに対する臨床面、X線画像、機能面から見た有効性評価において、ゼルヤンツ単剤投与がMTXを統計的有意に上回るものであり、ゼルヤンツ単剤療法の有効性・安全性プロファイルを裏付ける重要なエビデンスとなるとしている。(紫音 裕)
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・ファイザー株式会社 プレスリリース