医療現場に欠かせない抗生物質は意外と身近なものからできている
抗生物質は、多くの病気の治療に用いられる薬で、すでに現代の医療現場では欠かせないと言っても過言ではないでしょう。
画像はwikiメディアより引用
抗生物質には様々な種類がありますが、身近なものからも抗生物質が作られることで知られています。たとえば、カビから作られたペニシリン、土壌から作られたストレプトマイシンなどが有名です。
今回、マングローブの林に住む細菌から抗生物質を作り出せる可能性があるとの研究結果を、マレーシアの調査チームが発表しました。マングローブは熱帯地方の河口付近で見られる木で、日本でも沖縄などに自生しています。
エコシステムにより作り出される豊かな土壌は細菌の宝庫
研究チームが、マングローブが自生するマレーシア内の土壌8か所を調べたところ、53種類もの放線菌が分離されました。そして、このうちの5種類が抗生物質を作り出せる可能性があるとわかったのです。
マングローブの林には陸から落ち葉などを含む養分が運ばれ、これがマングローブの根の近辺で流れを止められ、豊かな土壌をはぐくみます。そして、潮が満ちるとともに小さな生物が流れ込み、微生物を食べ、また海へと帰って行きます。この仕組みは、マングローブのエコシステムとされ、きれいな水辺を保つために注目を集めてきました。
今回、抗生物質になる可能性を秘めた細菌たちが発見されたことによって、地球にも、人にも優しい存在として、さらに注目を集めそうですね。(唐土 ミツル)