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北大 グルタミン酸受容体GluD1がシナプス形成を制御していることを発見

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2014年06月12日 AM06:00

発現解析ツールを開発

北海道大学は6月3日、精神神経疾患と強く関連するグルタミン酸受容体GluD1を高感度で特異的に検出する発現解析ツールを開発し、そのツールを用いた研究により、GluD1が大脳や小脳などの高次脳領域に発現し、シナプス回路の結合性を強化することを発見したと発表した。


画像はプレスリリースより

この研究成果は2014年5月28日出版の米国神経科学誌「The Jornal of Neuroscience」で公開された。

グルタミン酸は脳における興奮性シナプス伝達の主要な伝達物質であり、さまざまな重要な役割を果たしている。これを伝えるグルタミン酸受容体の中には、グルタミン酸との結合能を失いシナプス伝達機能のない分子ファミリー(GluDファミリー)が存在する。これまでの研究から、この分子がシナプスの構造的および機能的結合性を制御しており、その遺伝子異常により小脳性の運動障害が起こることが明らかとなっていた。しかし、その類縁分子であるGluD1については全く不明だったという。

小脳皮質にとどまらず、大脳にも豊富に発現

研究チームは、GluD1が統合失調症や気分障害、自閉症スペクトラムなどの精神神経疾患と強く関連する遺伝子の1つであることから、GluD1が大脳や小脳などの高次脳領域で、シナプス結合性の強化を介して高次脳機能の基盤になっているという仮説を立て、GluD1の発現解析を可能にする高感度特異抗体とリボプローブを作成。マウス脳におけるGluD1の細胞発現とシナプス局在を解析して、GluD1遺伝子欠損マウスのシナプス回路を詳細に検討し、GluD1によるシナプス結合に対する機能を追求したという。
その結果、GluD1は大脳皮質や海馬、線条体といった、認知・運動・情動・記憶に関わる高次脳領域に発現し、特定のシナプス回路に選択的に局在していたことを発見。さらに、GluD1遺伝子欠損マウスのシナプス回路解析から、GluD1がシナプス回路の形成制御に関与していることが明らかとなったという。

GluD1が小脳皮質にとどまらず、大脳にも豊富に発現していることから、研究チームは、今後、シナプス形成制御と精神神経疾患の発症との関係に焦点を当てて研究を展開し、病因やその発症基盤の解明へとつながることが期待されるとしている。(浅見園子)

▼外部リンク

北海道大学 プレスリリース
http://www.hokudai.ac.jp/news

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