PlyCに再注目
ペニシリンの発見以来、多くの強い抗生物質が発見されているが、菌がそれに対する抵抗性を身につけ、多くの抗生物質は効力が弱まっている。科学者達は伝染病に対する新たな治療法を探しているなか、オーストラリア、メルボルンのモナシュ大学の科学者は、PlyCという細菌が作り出すたんぱく質が抗生物質に替わるものとして使用できると発表した。
たんぱく質が連鎖球菌を破壊
このたんぱく質が最初に発見されたのは1925年で、伝染病治療の可能性が確認された。しかし抗生物質の発見以来、研究者達は研究を中断してしまった。
今、科学者はそのたんぱく質の構造を6年間研究し続けており、彼らは肺病やのどの痛みの原因菌毒素から来るショックを引き起こす連鎖球菌をどのように駆逐していくかを発見した。
オーストラリアの研究チームは、メリーランド大学とニューヨークのロックフェラー大学と共同で研究した。その発見は国立科学学会の報告書に記された。
耐性を作らせない抗生物質の誕生に期待
オーストラリア、モナシュ大学のシーナ・マクゴーワン氏はこのたんぱく質を力強い細菌キラーと書き表しており、細菌の表面に付着して外側から破壊していく。マクゴーワン氏は肺炎などのような症状にとても効果があるとしている。
同氏は以下のように語る。
「特殊なタイプの病気には、一時的には抗生物質が有効であるが、ほとんどの菌は少しずつ耐性がついてくる。今回のたんぱく質は、効力は従来のものと同じである。人体に使用するまでに開発・研究する必要があったが、現行では抗生物質を使用しており、研究のための時間は十分に取れた。」
研究者達は薬を生産するためにPlyCの原子構造を研究し、マウス実験では連鎖球菌の治療には成功を収めた。しかし錠剤や点鼻スプレーなどに有効な治療薬開発には10年かかるだろう。
▼外部リンク
モナシュ大学 リンク
http://www.monash.edu.au