進行非小細胞肺がんなどを対象とした第1相試験で
米イーライリリー・アンド・カンパニーは現地時間の5月14日、現在開発している1日2回投与の経口薬「abemaciclib」が、第1相試験で進行非小細胞肺がんの患者において単剤での活性のエビデンスを示したと発表した。
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同試験結果は、イリノイ州シカゴで開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会に先立って発表されたもの。
この試験については、ホルモン受容体陽性転移性乳がんの女性を対象にabemaciclibとfulvestrant併用療法の安全性を評価した、別のコホートのデータも発表されている。
変異型に細胞増殖抑制効果示す
この第1相試験では、拡大コホートを対象として、膠芽腫、黒色腫、結腸直腸がん、非小細胞肺がん及び転移性乳がんという5つの腫瘍タイプにおけるabemaciclibの安全性、薬物動態及び抗腫瘍活性を評価した。
このうち、正常細胞をがん細胞に変化させるKRAS遺伝子の突然変異による非小細胞肺がんモデルに対して、abemaciclibが高い細胞増殖抑制効果を示すエビデンスが認められたという。
第1相試験では、標準治療後に進行、または再発した非小細胞肺がんの患者57名が登録された。この患者らが過去に受けたレジメンの中央値は4レジメンで、KRAS遺伝子については29名に突然変異が認められ、24名に認められず(野生型)、残りの4名に関しては突然変異の有無は不明だった。
試験期間中、患者はabemaciclibを1日2回投与され、病勢コントロール率は、abemaciclibを投与された患者に対して49%であり、このうち部分奏効が2名、安定が26名だった。また、KRAS遺伝子野生型(38%)と比較して、KRAS遺伝子変異型(55%)が高く、非臨床研究のデータと一致したという。
最も多く認められたグレード3の有害事象(発現率5%超)は、白血球減少症(14%)及び好中球減少症(9%)で、肺がんコホートではグレード4の有害事象を発現した患者はおらず、有害事象のため試験を中止した患者は2%未満だったとしている。
転移性乳がんにおいてグレード4の毒性報告されず
転移性乳がんにおいては、ホルモン受容体陽性の転移性乳がんの患者18名にabemaciclibが1日2回投与され、抗エストロゲン剤fulvestrantも1ヵ月に1回投与された。18名の患者が過去に受けた全身性レジメンの中央値は4レジメンだった。
この乳がんコホートは併用療法の安全性プロファイルを検討するために行われ、最も多く認められたグレード3の有害事象(発現率が5%超)は、好中球減少症(33%)、白血球減少症(22%)、腹痛(11%)、下痢(6%)、疲労(6%)で、グレード4の毒性は報告されず、有害事象のため試験を中止した患者はいなかったとしている。(浅見園子)
▼外部リンク
日本イーライリリー株式会社 プレスリリース
https://www.lilly.co.jp/pressrelease/2014/