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【都薬調査】薬剤師のカスハラ経験7割-医薬品流通問題で休職も

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2025年01月15日 PM06:36

業務中にカスタマーハラスメントを受けた経験がある薬局薬剤師が約7割に上ることが、東京都薬剤師会が2024年11月に実施したアンケート調査で明らかになった。「過去のハラスメント経験が現在も業務に影響を残している」と回答したのは約3割あった。そのうち出荷調整などの医薬品流通に起因していた事例が一定数あり、薬剤師が休職に追い込まれる事例があることも判明した。都薬は今後の対応策として、ハラスメントの相談窓口の設置やハラスメント防止を啓発するポスターの薬局内掲示などを検討する。

薬剤師489人から回答を得た中で、カスハラを受けたことが「ある」は69.1%だった。「直接受けた経験はないが見たことはある」は7.2%、「ない」は23.7%となった。

カスハラを受けた経験や業務中にそれを見た頻度では「年に1回程度」が44.5%、「月に1回程度」が26.0%だった。

これまで受けた経験のあるカスハラ行為で圧倒的に多かったのが「暴言」。次いで「謝罪等の執拗な強要」「金銭を投げ渡すなどの侮辱」「執拗な電話」の順となった。自由意見では「ハイターなど漂白剤をかけられた」「保健所に通告し営業できないようにしてやるなどの脅し」といった行為も報告されている。

カスハラのきっかけは「薬局での待ち時間」が最も多く、「薬剤師の説明について」「医薬品の入手困難」が続いた。「選定療養費に関する料金について」の選択も一定数見られた。

「カスハラを受けている時の心境」を聞くと、「医療従事者として患者に対して反論することはできないと考え我慢した」「単純に受けた行為への恐怖」「相手に対する怒り」の順で多かった。一方で「毅然とした態度をとった結果、こちらから調剤拒否をしたと誤認されることへの不安」も上位回答に挙がっており、カスハラと薬剤師に課されている調剤応需義務の狭間で苦悩している状況も浮かび上がった。

カスハラを受けた後の影響については「特に支障はなかった」が181件と最多だった一方、「ハラスメント経験で現在も何らかの影響が出ている」が134件もあった。出荷調整などの医薬品流通に起因するものは12件あり、「インターネット上にスタッフの写真付きで薬の流通不良に対して職務怠慢との書き込みがされた」などが挙がった。

そのほか、「女性1人の時間帯を狙って来店」「待合室で子供に座薬を入れ始めた患者にトイレを案内したところ、代わりに座薬を入れるよう強要された」との回答もあった。

犬伏洋夫常務理事は10日の定例会見で、「事件になってもおかしくない悪質なハラスメントを受けていたことに驚いている。きっかけの一つが医薬品の流通障害に起因するもので、薬剤師はハラスメントを受けても我慢していたことが分かった」と語った。

都薬は、▽相談窓口の設置▽カスハラ防止や薬剤師業務を見える化するためのポスター掲示――を検討し、管理薬剤師向けには「クレームとハラスメントの差異」について研修する機会を提供していく考えだ。

高橋正夫会長は「無理難題を言う患者さんに対しての応需義務ではいけない。どこまでが義務であるかを決めてもらうために、何らかの線引きが必要ではないか」と訴えた。

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