感染症や心筋梗塞などの診断補助に使用のCRP
愛媛大学は1月10日、スマートフォン暗視野顕微鏡を用いた金ナノ粒子凝集観察により、C反応性タンパク質(CRP)を簡便に検出する手法を開発したと発表した。この研究は、同大大学院理工学研究科(理学系)の座古保教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Sensors & Diagnostics」にオンライン掲載されている。
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CRPは、炎症や組織障害のバイオマーカーとして広く使用されているタンパク質。血液中のCRP濃度が高い(5mg/L(約50nM)以上)と、炎症や感染の可能性が示唆される。そのため、感染症や心筋梗塞、肺疾患、がんなど、さまざまな疾病の診断補助に広く使用されている。これまでは、主に抗体を用いた検出が行われてきた。
金ナノ粒子凝集観察で、炎症・感染の目安「50nM以上」のCRP検出に成功
研究グループはこれまでに、金ナノ粒子がターゲット分子依存的に示す凝集を、溶液色変化や暗視野顕微鏡下での輝点色変化などで評価することによる分子検出手法を開発してきた。今回の研究では、CRPに特異的に結合するDNAアプタマーを金ナノ粒子表面に修飾。5つのサブユニットからなるCRPに結合したときに形成する金ナノ粒子集合体を、暗視野顕微鏡で単一クラスター解析することにより、CRPを検出可能な手法を開発した。その結果、CRP存在下で、より明るい金ナノ粒子輝点が観察された。特に、炎症や、感染の目安となる、50nM以上のCRPの検出に成功した。
スマホ簡易型暗視野顕微鏡を開発、簡易評価技術への応用に期待
また、医療現場で、簡易な機器などにより迅速に検査を行うPOCT(Point of Care Testing)の実現に向けて、スマートフォンを用いた簡易型暗視野顕微鏡を開発。今回、ステージ位置調整システムを導入することで、CRP存在下で形成される、金ナノ粒子集合体の単一クラスター解析が可能になり、スマートフォンを用いた暗視野顕微鏡による50nM CRP検出に成功した。
これらの成果により、疾病や炎症の重症度を簡易に評価できる技術への応用が期待される、と研究グループは述べている。
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